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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第2章 反撃編
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コロニー主との交渉 〜ルビア4〜

あたしはアイアンナックルをガチンと鳴らすと、凶悪な笑みを浮かべてグニーを挑発する。


「ルビア、お前からの招待状だ。始め方はお前に任せてやるよ」

グニーは首をコキコキ鳴らしながら、ニヤリと笑っていた。


「ふふふ。ありがとうございます。あっさりと死なないで下さいよ?」

「ふっ、てめぇこそ」


「はぁっ!」

あたしは気合いを入れて『ギンっ』とグニーを睨む。

あたしを中心に強烈な威圧感が広がり、闘技場を囲む結界がビキビキと音を立てヒビが入る。


(よし、ここの闘技場も同じ作りみたい)


あたしは腰を屈め、一気に大地を蹴りグニーへ突進し腹へ一撃を入れる。が、グニーの腹筋に防がれてしまった。


「へぇ、鍛えてますね」

「ふっ、いいパンチじゃねぇか」


あたしが一歩下がり、ファイティングポーズをとると、グニーも同じくファイティングポーズをとった。


「うらあああぁぁああああ!!」

「しゃああああぁぁあああ!!」

あたしとグニーは足を止め、お互いに防御を無視してラッシュを繰り出す。


お互いの拳がぶつかり、闘技場に激しい打撃音が響く。


「ルビア、なかなかやるな」

グニーはニヤリと笑う。


「グニーさま、流石ですね。では、スピードを上げますよ」

あたしが更にラッシュのスピードを上げると、グニーもスピードを上げる。

お互いの拳圧で皮膚が裂け、血が飛び散りだした。

しかし、あたしの皮膚は裂けた端から完治していき、ほぼ無傷の状態だった。


「おいおいルビア、マジか!?」

「ふふふ、あたしオニなので治るの早いんです」

「いや、早すぎだろ?」


闘技場にガギン!!と音が響き、グニーの右拳とルビアの右拳がぶつかりラッシュは止まった。

お互いが後ろに飛び、2メートルほど空けて向かい合う。

グニーは傷を舐めて、獰猛な笑みを浮かべていた。


コロニーの住人達は呆気にとられ沈黙していたが、しばらくして大歓声をあげている。


「次、いきますよ?」

ルビアは両手を胸の前で叩いて、両腕を広げ呪文を唱える。


「アイシクル・ランス」

ルビアが広げた両腕の間に10本の氷の槍が現れ、グニーに向かって射出された。


「んな!おまえ魔導も使えるのか!」

グニーは大きく後ろに飛び間合いを空け、氷の槍を回避しようとするが左足に被弾してしまった。


「ぐっ」

グニーは左足の氷の槍を強引に引き抜き、投げ捨てる。


「まだまだいきますよ」

あたしは右手を上げ呪文を唱えた。


「アイス・ストーム!」

グニーは氷の嵐に巻き込まれ、無数の氷の礫を全身に浴びる。


「ぬぅぅぅ……がぁ!!」

グニーは氷の嵐から飛び出すと、片膝をついて肩で息をしていた。


「ふふふ、降参ですか?」

「んなわけあるかっ」

グニーは立ち上がると、深く息を吸い込む。


「ふぅぅぅ。てめぇ、最高だよ」

「ありがとうございます」

「だが、ここまでだ。獣化!」

グニーは勢いよく息を吐き全身に力を込めると、白い体毛に黒い虎柄、腕と足の筋肉が盛り上がり身体がひと回り大きくなった。

顔は人から獰猛な白い虎に近づき、凶悪な牙が生えてきた。


「ええ!グニーさまって白虎だったんですか!?」

厳つい身体なのにネコ耳が可愛いなんて思っててゴメンなさい!何となく心で謝ってみる。


獣化したグニーは傷がふさがり、さっき氷の槍で貫いた左足はなんともないように見えた。


「オレが本気で戦うなんて久しぶりだ。ルビア、誇っていいぞ」

グニーは牙を剥き出し、獰猛に笑うと腰を落とし力を溜める。


「ありがとうございます。でも、まだまだこれからですよ?」

あたしは『ふっ』と息を吐き、攻撃に備えた。


「いくぞっ!しゃぁ!オラァ!!」

グニーはルビアとの間合いを一瞬で詰め、闘気を纏った正拳突きを放つ。


「あ、やばっ!」

あたしは身体を捻って回避するが、グニーの正拳はあたしの左腕をかする。


『ボンっ!』

ルビアの左腕は吹き飛び、肩から大量の血を吹き出す。


「…っ!!」

あたしは右手で無くなった左腕を抑えて、少しでも血を止める。


「よく躱したな」

グニーはニヤリと笑う。


「ふっ!ふっ!ふっ…ふっ」

ルビアは短く息をして呼吸を整えると、「はぁ!」と左腕に気合いを込める。

ズシャ!


「う… うそだろ?」

ルビアの完治した左腕(生えてきた左腕)を見てグニーは唖然としている。


「はぁ、はぁ、痛かったぁ…」

あたしは完治した左腕(生えてきた左腕)をグルグルと回し、手をグーパーして感触を確かめる。


「うん、治った」

あたしはニコっと笑う。

「はぁ?なんだよそれ!?」

グニーは軽くパニックになっていた。観戦していた住人達にも動揺が広がっている。


「あー、あたし治るの早いんです。オニだから?」

あたしは、たはははと頭を掻きながら照れ笑いしていた。


「んなわけあるかー!!」

グニーは絶叫していた。

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