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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第2章 反撃編
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コロニー主との交渉 〜カムカム三姉妹2〜

あたい達は以前、寝泊まりしていた長屋に来ていた。

部屋はキレイに掃除してあり、あたい達が暮らしていた時に使っていた家具や食器がそのまま残してあった。


あの門番… 騙されてるのも気がつかないお人好しが…


あたいは少し胸がチクっとする…


「キカム、ヒカム。ゴテチアの所に行く前に準備しておきなさい」

「「はーい」」

2人は各々の『準備』を始める。


「さて、あたいはゴデチアの情報を仕入れておくか…」

あたい達に力は無い。だから、入念に準備してから『戦い』に挑むのだ。



◇◇◇◇


(夕方)

『準備』を終えたあたい達は、翌日ゴデチアに会う事にした。


「チカム姉、明日の作戦はどうするの?」

キカムはパンをちぎり、スープに浸して食べながら聞いてきた。


「うん、やっぱりゴデチアは想像通りのヤツやったわ。門番のおじさんの態度でだいたいは分かってたけどな」


「そ…それなら、い…いつも…の感じ?」

ヒカムはオドオドしながらあたいを見てくる。


「そやなぁ。いつもと同じ感じが1番効果ありそうやなぁ。あと、ゴデチアって弱いヤツにはめっちゃ強気やけど、相手が強いとヘタレらしいわ」

あたいはスープを食べていたスプーンでキカムとヒカムを指す。


「チカム姉さん、お行儀…」

ヒカムはポソっと指摘してくるが、あたいは当然、無視する。


「なるほどな…」

キカムは凶悪な笑みを浮かべる。


「とりあえず、明日ゴデチアに会う段取りはしてきてるから、あとはいつものようにいこか」


「「はーい」」



◇◇◇◇


(翌日)


あたい達はゴデチアの屋敷に来ていた。

昨日、あたいはゴデチアに面会する為、事前に連絡を入れていた。


玄関前にはメイドが2人立って、あたい達を迎えてくれた。


「な… なんなん?あのメイド…?」

キカムとヒカムはメイドを見て若干引いていた。


「最低やろ?」

あたいはため息を吐く。


あたい達を迎えてくれたのは、人種のメイドとネコの獣人メイドだった。

2人は超短いヒラヒラのスカートに、少ない布で胸だけを隠し、肩紐に付けたヒラヒラした白い布で肩を飾り、首には赤いチョーカーをつけている。頭には白いレースでできたブラムを着ける事で『メイド』であると主張しているようだった。


「あれ、ほとんど裸やん…」

キカムは呆れてものも言えないようだった。


「チカムさま、キカムさま、ヒカムさま。ようこそおいでくださいました。我が主人、ゴデチアがお待ちでございます」

2人のメイドはお辞儀をしてあたい達を屋敷に迎え入れた。

しばらく廊下を歩き、少し豪華な扉の前に止まる。

「ゴデチアさま。お客さまが来られました」

メイドは扉に向かって声をかける。


「うむ。入れ」

扉の向こうから低い声が聞こえると、メイドは扉を開けてあたい達を中に通した。


少し広めの部屋は奥が一段高くなっており、そこに置かれた重厚な椅子には、お腹がまるまるとしたオッサンが座っていた。

何もしてないのにすでに暑苦しさを感じるオッサンは、見た目はタヌキの獣人か?と思うほどタヌキ顔の人種だった。

ゴデチアの周りには、先程のメイドと同じ格好をしたネコ耳の猫の獣人と垂れ耳のイヌの獣人、人種と耳が尖ったエルフ種のメイドが立っていた。


「ワシがゴデチアだ。チカムとか言ったな?」

ゴデチアはすでに汗をかいていて、鼻息が聞こえてくる。


「はい、あたいはチカム、こちらは妹のキカムとヒカムです。本日はお時間を頂きありがとうございます」

あたいは片膝をつき頭を下げて挨拶をする。


「うむ。ワシはとても忙しい身だが、お前達のためになんとか時間を作ってやったぞ。で、用件はなんだ?」

メイドと遊ぶのに忙しいだけだろ?っと言ってやりたいが今はまだガマン…


「ゴデチアさま。あたい達はリリウムさまの使者として参りました。こちらの親書をお受け取り下さい」

ネコ耳のメイドはあたいが取り出した親書を受け取り、ゴデチアへ手渡した。


「リリウム… あぁ、あの真っ先に降伏したヴァンパイアか」

ゴデチアはぶつぶつ言いながら親書を読む。


「なるほど。ワシにリリウムの下につけと言っているのだな?」

ゴデチアはギロリとあたい達を睨む。

あたい達は頭を下げて、ゴデチアの反応を待つ。


「うーむ。今の魔界で主をしていても正直めんどくさいことは確かだ。リリウムの話しを聞くのもやぶさかではない…」

ゴデチアは粘着質な目であたい達を舐め回すように見ている。


「今日も忙しい中、なんとか時間を取ったわけだ。その、なんだ、それなりに誠意ってものを見せて貰えないと、ワシもいい返事が出にくくなるものよなぁ?」

ゴデチアの鼻息が荒くなってくる。



「誠意… ですか…」

あたいはボソッとつぶやく。



「あ… あの…」

ヒカムは小さな声を出し、もじもじしている。


「む?お前はヒカムだったな?なんだ?」

ゴデチアが食いついた!


「あ…あの、うちらにできる、せ…誠意…って、ゴデチアさまをお慰めするしか…で…できない…です…」

ヒカムは顔を真っ赤にして小声でそう言うと、俯きもじもじしている。


「お!? お、おう、ワシはそういう誠意も受け取る寛大さも持っておるぞ」

ゴデチアの鼻息はふんっふんっと更に強くなる。


「そ… それでは、ゴデチアさま。恐れ入りますが、うちらに身体を清める、お…お時間だけ…下さい…」


「よし、それではワシは自室で待ってる。これ、メイド達よ、この者たちの誠意をムダにするでない」

ゴデチアの周りにいたメイド達は、あたい達を風呂場に案内し薄い生地で淡いピンクのワンピースを用意してくれた。


あたい達は身体を清めると、ワンピースに着替えゴデチアの待つ自室へ向かった。

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