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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第2章 反撃編
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コロニー主との交渉 〜カムカム三姉妹1〜

「チカムちゃん、キカムちゃん、ヒカムちゃん!おかえり!」

門番は満面の笑みで出迎えてくれた。


ここは、あたい達が情報収集にきたコロニーで『ゴデチア』のコロニーだ。


「おじさん、ただいま!」

あたい達は元気よく手を振り、愛想を振りまくる。


「みんなケガはしてないかい?旅は無事にできた?」

「はい、ケガもしてませんし、旅も順調ですよ。おじさんのおかげです」

チカムはニコニコしながら、門番の手を握る。


「いや、オレはなにもしてないさ。チカムちゃん達が立派なんだよ。あの時のチカムちゃん達には、おじさん感動したよ…」

「え?そんな…」

チカムは頬を赤く染めて俯いていた…



◇◇◇◇


ある程度情報を集め、拠点に帰ることにした頃…



「チカム姉、情報もある程度集まったし、そろそろ帰る?」

キカムは夕食のスープを飲みながら話し出した。


「そやねぇ、もうめぼしい話も聞かへんし。そろそろかなぁ」

あたいはスプーンを咥えて、ピコピコ動かしながら考える。


「チカム姉さん、お行儀…」

ヒカムはポソっと指摘するが、あたいは敢えて無視する。


「よし、それじゃ拠点に帰るか!」

「それじゃさ、ここを離れる理由を考えないとね…」

キカムは天井を見ながら考えだす。


「そやなぁ。ヒカムいい案ない?」

「えー?んー。それじゃ、うちらみたいに困ってる人を助けに行くってどう?」


「いいかも。ウソじゃないしぃ」

キカムはバッとヒカムを見て賛成する。


「そやね、真実の中に少しずつウソを混ぜたらバレないし… よし!それでいこう!」

あたい達は、「困っている人を助けるための旅」に出ることにした。



翌日、朝から出発するために門に来ていた。


「おじさん、いろいろとお世話になりました。あたい達は、おじさんにして貰ったように、困っている人を助ける旅をしてきます」

あたいは門番の手を握り、門番にお礼を言う。


「チカムちゃん、そんな危ない事しなくてもココに居れば安全だよ?」

門番はすごく心配そうな顔で、あたい達を見ている。


「うん。きっとおじさんの言う事は正しいのだと思う。でもね、あたい達はおじさんに助けてもらった。だから、今度はあたい達が誰かを助けなきゃいけないと思うねん。それがおじさんに貰った恩の返し方だと思うねん」


「チ…チカムちゃん、キカムちゃん、ヒカムちゃん。君たちは… な、なんて素晴らしい子達なんだ…」

門番はうっすらと涙を浮かべていた。


「ううん。おじさんが居てくれたから、あたい達は今ここに居れるねん。また、帰ってくるから。おじさんも元気で待っといてな!」

あたい達はそう言って門を出て行った。またここに来た時のために、途中3回くらい振り返って手を振る事を忘れてはいけない。


◇◇◇◇



そして今、あたい達はリリウムの使者としてココに帰ってきた。


「おじさん、元気だった?」

あたいはニコっと微笑む。だいたいの男はコレでイニシアチブを掴める。この門番なら楽勝だ。


「ああ、もちろんだとも。おじさん、チカムちゃん達の顔を見て更に元気になっちゃったよ」

がはははははと、一瞬下ネタか?と思うような事をほざく門番。


「やだーーー」

あたいは口を抑えて、飲み屋のお姉さんのように朗らかに笑う。

若干、コメカミに血管が浮いているが気がつかないだろう。


「おじさん、あたい達な、リリウムさまのコロニーに行ってきてん。そして、今日はリリウムさまの使者として主のゴデチアさまに会いに行かなきゃあかんの」


そう言うと、門番は一瞬険しい顔をする。


「おじさん、どうしたん?」

「え? あ、いや…」

門番は何が隠しているようだったが、あたい達は親書を持ってゴデチアをリリウムに会わせないといけない。少し気になるが、まぁ任務を優先しよう。


「それじゃ、あたい達ゴデチアさまの所に行ってくるわ」

あたい達は門番に手を振り、コロニーに入って行こうとした。


「チ、チカムちゃん、待って!」

門番が真剣な顔で追いかけてきた。


「おじさん?なぁに?」


「チカムちゃん、どうしてもゴデチアに会うのかい?」

門番は少ししか走ってないのに、両手を膝にあてて肩で息をしている。


「うん。あたい達はゴデチアさまに会うためにきたから…」

「そうか。チカムちゃん、キカムちゃん、ヒカムちゃん。ゴデチアには気をつけるんだ。あいつはろくでもないやつなんだ。絶対に1人で会ってはいけないよ」

門番はあたいの両肩を持ち、必死に訴えてくる。


「おじさん、どうしたん?あたい達は親書を届けるだけだし、なんにもないよ。大丈夫やって」

あたいが笑うと、門番は力なく肩から手を離した。


「それじゃ、行ってくるね」

あたい達は門番に手を振り、ゴデチアの屋敷に向かった。


「……ほんと、気をつけて」

門番は小さくつぶやいていた。

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