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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第2章 反撃編
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コロニーでの情報収集 〜シオンvsアオイ〜

日中はコロニーでお世話になった人達に挨拶してまわり、夕方『いつもの酒場』に向かった。

酒場に着くとすでにたくさんの人が集まっており、外まで賑やかな声が聞こえる。


「こんばんはー」

あたしとシオンは挨拶しながら酒場に入った瞬間に注目を集める。


「おー!ルビアちゃんとシオンちゃんが来たぞー」

賑やかな声を上回る大きな声で誰かが叫ぶ。

それまで思い思いに騒いでいたコロニーの人達が、一斉にルビア達を満面の笑みで迎え入れた。


「ルビアさん!シオンさん!久しぶり!」

ルビアと同じ年くらいの女の子が、たくさんの人の間を抜けるように走り寄ってきてルビアに抱きつく。


「ステラリアさん!久しぶり!」

ルビアもステラリアに抱きつき、再会を喜びあう。

ステラリアは猫の獣人で、頭にはネコ耳があり嬉しいとピコピコと動く可愛い人だ。


「シオンさんもお元気でした?」

ステラリアはシオンの両手を握り、ぴょんぴょんと跳ねている。


「あぃー。シオンはいつも元気ですぅ」

うへへへと、いつものようにシオンはクネクネしている。


「あれ?ステラリアさん、その格好は?」

ステラリアは少し短めのスカートのゴスロリ調の服に、白いエプロンと首には大きめの赤いリボンを着けたメイド服を着ていた。


「ふふ、わたしここで働いてるのよ。似合う?」

ステラリアはクルッと回転して微笑む。


「はい!とてもお似合いです」

ルビアは目をキラキラさせて、ステラリアの服を見ている。


「でもぉ、ここのマスターは、ちょっと変態ですよねぇ」

シオンは少しマスターの趣味に引いているようだった。


「まぁ、ちょっとメイドへの憧れ感が否めないけどね。けど、ルビアさんはこんな服が好きみたいね」

ステラリアは、ふふふと笑っていた。


「あたしも着てみたいなぁ」

あたしが【かえで】の頃から憧れてたけど、20歳超えて着るとイタイから着れなかったのよねぇ…


ルビアがまだ目をキラキラさせていると、酒場のドアが勢いよく開き、赤い髪で灰色の目をした美青年が勢いよく入ってきた。


「ルビアちゃん!!!」


「あ、アオイさん」

ルビアが我に返りアオイを見ると、目の前にシオンが仁王立ちする。



「くっ、シオン…」

アオイは一瞬怯むが、シオンの前で立ち止まる。


「あぃー、アオイさん。お久しぶりですねぇ」

シオンは不敵な笑みを浮かべる。


「おぅ、シオン久しぶりだねぇ。そろそろシオンは結婚相手を探したらどうだい?ルビアちゃんの事はボクに任せてさ」

アオイはふんっと鼻から息を吐く。


「あらあら?アオイさん。何か夢でも見てるんですか?寝言は寝てから言って下さいねぇ」


「おやおや?シオンさん。そろそろ結婚の準備を始めてもいい頃ですよ?まぁ、シオンを貰おうなんて奇特な男がいればいいですけどねぇ?」


ふふふふと、2人は引きつった笑顔で睨み合う。


「もう!シオン!アオイさんにはすぐに突っかかるんだから!」

「ぁぅー」

ルビアはシオンを背中に追いやり、アオイの手をとる。


「ル…ルビアちゃん…」

アオイは顔を真っ赤にして、ルビアに握られた手を見つめていた。


「アオイさん、お久しぶりですね」

ルビアはニコッと微笑む。


「あ、あぁ。本当に久しぶりだ。また会えて嬉しいよ」


「あたしもです。みなさんとお会いできて、本当に嬉しい」


「あ、いや、まぁ…」

アオイは少し微妙な表情になる。


「あ!そうだ!ルビアちゃん。ボク、冒険者になったんだよ!まだ、アイアン級だけどゴブリンくらいなら1人で倒せるようになったんだ」

アオイはルビアの手を両手で握り、満面の笑みで報告した。


「ゴブリン?ルビアさまなら、ゴブリンくらいデコピンで爆殺ですよぉ?」

シオンはくくくと笑う。


「シオン!あたし、デコピンで爆殺なんて…」

いや、出来るかもしれない…

あたしは否定しきれない自分に凹む…


「まぁまぁ、アオイさんも、ルビアさんも、シオンさんも、とにかく飲みましょう!アオイさんはバーラですか?ルビアさんとシオンさんは?」

ステラリアは手を叩くと、3人の顔を見て微笑む。


「あぁ、ボクはバーラで」

「あたし達はオランジェ水でお願いします」

「はーい、ちょっと待っててね」

ステラリアは明るく返事をして、店の奥に入って行った。


「ルビアちゃん、まだ旅を続けるの?」

アオイは急に真面目な顔でルビアを見つめる。


「……うん。あたし達はやらなきゃいけないことがあるから」

あたしは少し俯いて答える。


「そうか、ボクにソレを手伝う事はできないのかな?」


「………たぶん、あたしとシオンにしか出来ないと思うの」


「……そうか。はやくソレが終わればいいね」

アオイは少し悲しそうに笑っていた。



「はーい、おまちどうさまっ」

ステラリアは両手にジョッキを4つ持って帰ってきた。


「はい、アオイさんはバーラ」

ステラリアはアオイの前に、ジョッキの上2割くらいが泡になっており、泡の下には琥珀色した飲み物が入っていた。【かえで】の記憶では、バーラはビールのようなお酒だ。


「ルビアさんとシオンさんはオランジェ水ね」

オランジェ水は、味が薄いオレンジジュースだ。あたしはお酒は苦手なのでいつもコレを飲む。


「で、あたしもバーラ。さ、再会を祝って乾杯しましょ!」


「乾杯っ!」

あたし達は久しぶりに会った友人達と、楽しい時間を過ごしていた。




「やぁ、ルビアさん、シオンさん。お久しぶりですね」

ふと、背後から声をかけられ振り向くと、顔色は青白く、瞳孔が縦になった猫化の動物のような目は血のように赤く、小さ目の真っ赤な唇からは笑うと小さな牙が見える。そんな美しい金髪の女性が立っていた。


「リリウムさま!」

そこにはコロニーの主であるリリウムが微笑んで立っていた。

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