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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第2章 反撃編
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コロニーでの情報収集 〜ルビアとアオイ〜

あたし達は拠点コロニーから2日ほど歩いて、小さなコロニーの門に来ていた。

門の前には門番が1人ヒマそうに立っていた。


「あ、おじさん!お久しぶりです!」

あたしは笑顔で門番に手を振り挨拶する。


「おー!ルビアちゃんとシオンちゃん!久しぶりだな」

門番はルビア達を見ると手を振って応えていた。


「魔界一周の旅は順調かい?」

門番はニコニコしている。


「んー、まだまだ行ってない所があるんですよね。今日は近くに来たので、久しぶりにみんなの顔を見に来ました」


「おお!うれしいねぇ。ルビアちゃん達が旅に出てから2年経つからなぁ。今夜はいつもの酒場においで。みんな喜ぶから」


「はい。必ず行きます」

あたしとシオンはそう言うと、コロニーに入って行った。



「もう、2年も前になるんだねぇ」

あたしはしみじみとつぶやく。


「あぃー。あの時はいろいろありましたね」

シオンも珍しく感慨深い顔をしていた…



◇◇◇◇



(2年前)

あたし達は情報収集のため魔界を旅しており、この小さなコロニーにも立ち寄ろうとしていた。


コロニーから少し離れた場所で、たくさんの魔石を積んでコロニーに戻ろうとしている一行を見つけた。


「シオン、やっぱりここも魔石を集めてるみたいね」

「そうですねぇ。そんなに魔石集めてどうするのでしょうねぇ」

「さぁ?何か希少な価値があるのかな?」


あたし達は一行を遠目で見ながら話していた。

その時、一行に近寄る複数の影を発見した。


「シオン、あれなんだろ?」

「んー、ちょっと遠くてわかりませんねぇ」


影達はゆっくりと一行の背後から近づくと、突然襲いだした。一行は混乱状態となっている。


「ええ!?」

「あれはモンスターか魔獣みたいですねぇ。インクローチャーが使う武器を持ってないみたいですし…」

「ねぇ!シオン!アレはインクローチャーじゃないよね?だったらあたし戦っても大丈夫よね!?」

「あぃー、シオンはルビアさまについて行きますよ。ルビアさまの思う通りにして下さいぃ」

シオンはヘラヘラと笑いながら、ショートソードを抜いた。


「ふふ、ありがとう。いくよ!シオン!」

あたしは言うと同時に一行に向かって走り出す。


「あぃー」

シオンは音もなく走りだし、影の背後に回ると姿を消した。

あたしには魔力感知があるので、シオンがどこに居るかハッキリとわかる。

あたしは影の正面から突撃し、背後からシオンが奇襲をかける。

あたし達のいつもの連携だ。


ルビアが少し走ると、影達が何者かハッキリ見えてきた。

「あれは、オーガ!?みんな食べられちゃう!」


ルビアは一度立ち止まり、呪文を唱える。

「マジックミサイル!」


ルビアが右手を振ると対戦車ミサイル並みの光の矢が7本出現し、オーガに向かって射出された。マジックミサイルが命中すると爆発し、付近のオーガを巻き添えにする。


オーガ達は初めは突然の攻撃に動揺したが、すぐにルビアを見つけ武器を振り上げて走ってきた。


「ふぅ…」

ルビアは軽く息を吐き両腕に炎を纏うと、強く大地を蹴り一気にオーガとの距離を詰める。



「うぉぉおおりゃあぁぁああ!!」

ルビアの炎を纏った腕の打撃は、一撃一撃に打撃とファイヤーボールのダメージが重なり、オーガを爆殺していく。


背後からはシオンが不意に現れ、オーガの首を次々に飛ばしていった。


一行を襲っていたオーガはあっという間に全滅し、けが人が多少出た程度で済んだ。


突然現れたルビアとシオンに一行の人達は、ぽかーんとしていた。


「みなさん、大丈夫でしたか?」

ルビアが声をかけると、一行の人達は我に返り腰を抜かし座り込む人や、安心して泣き出す人が多数出でしばらく動けなかった。


しばらくして何人かが落ち着き、ルビアとシオンの元に集まってくる。

「ありがとう、助かったよ!」

一行のリーダーらしき人がルビアの手を握りお礼を言ってきた。


「いえ、たまたま通りかかっただけですから…」


「君たちはもの凄く強いんだね。ビックリしたよ」


「いえいえ、あたし達はただの冒険者なので、これくらいは普通かと…」


「冒険者ですか!最近は冒険者が少なくなって、護衛の依頼もできないんだ。冒険者が護衛してくれてたら、今日みたいな怖い思いもしなくていいんだが…」

一行のリーダーは少し俯き話してくれた。



「そうなんですね…」

あたしは、ただ聞くしか出来なかった。


「あ、すいません!つまらない愚痴を言ってしまいました。ボクはアオイ。この一行のリーダーをやっています。ぜひ、お礼をさせて下さい」

アオイと名乗る青年は赤い髪で灰色の目をした美青年だった。


「あ、いや、そんなつもりじゃ…」

ルビアは慌てて遠慮しようとするが、アオイはルビアの手を取り握りしめる。


「ぜひ!!コロニーに来てください。あと、お名前を教えて下さい!」


ルビアはアオイにグイグイと迫られ、オドオドしてしまう。


「あ、あたしはルビア。この子はシオンです。2人で魔界を旅しています…」


「ルビアさん…」

アオイは少し頬を紅くしてルビアの名前を呟いていた。


こうして、あたし達はアオイ達一行に連れられコロニーにやって来た。

門番はアオイに「どこでそんな可愛い子拾って来たんだよ」と冷やかすと、「ばかっ!命の恩人だよ!」と、アオイは真っ赤になっていた…



その日の夜、アオイから『お礼がしたい』と呼び出され、コロニーのみんなが集まる酒場にやって来ると、アオイ達一行を救った英雄として紹介された。


アオイはなぜがずっとあたしの横に座っていた。ふと、一行のメンバー達が昼間の襲撃を話題にしているのが聞こえた。

その内容は『突然、炎の魔神と、死神が現れた』だった…


「炎の魔神と死神って…」

あたしとシオンはお互いを見て苦笑いしていたのを覚えている…



◇◇◇◇



あたし達はこの後、約半年の間このコロニーを拠点として付近の情報収集をしていた。

いろいろとあったが、このコロニーは楽しい思い出がたくさん詰まった場所だった…

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