コロニーでの情報収集 〜アナナスの憂鬱〜
―――(鋼鉄の盾)―――
アナナス達、鋼鉄の盾メンバーは拠点となる廃コロニーから2日ほど歩いた所にあるコロニーの門の前に立っていた。
門の前に着く少し前。
「ここは私に任せなさい!」
白いローブを着て、赤髪で青い目をしたクレアは腕を組み、ふんっと鼻から息を吐いていた。
「ん?どうしたんじゃ?クレア」
アナナスはクレアの突然の立候補にきょとんとしていた。
「ここのコロニーは子供の頃、お父様に連れられて来たことがあるわ。ここの主は昔、お父様について回ってたそうなの。だから、私が話せば情報なんてすぐに集まるはずよ」
クレアは元々は魔界の東側にあるコロニーの主の娘だった。魔界の東側ではかなりの勢力をもったコロニーで、近辺のコロニーへ出向いてはもてなしを受けていたのだ。
「クレアお嬢様、それではこのデニアがお供させて頂きます」
銀髪で青い目のデニアは片膝をつき、クレアに頭を下げる。
「デニア、仕方ないわね。私と共に来る事を許すわ」
「ははっ。ありがき幸せ」
クレアはデニアを連れてコロニーの門へズンズンと歩いて行った。
「アナナスさん、おれ悪い予感しかしないんですけど…」
セロシアがアナナスに囁く。
「オレもだ…」
アナナスは肩を落として、ため息を吐いていた。
◇◇◇◇
コロニーの門は硬く閉められて、門の前には門番が2人立っていた。
クレアはズンズンと進み、門番の前で立ち止まる。
「お…おい、お前達は誰だ?」
門番はあまりに堂々とした訪問者に戸惑いながら声をかける。
「私はクレア。白魔導士よ。ここの主に会わせなさい!」
クレアは腕を組み、ふんっと鼻から息を吐く。
「え?あんた、なに言ってるんだ?」
門番は少し混乱しながらも警戒する。
「私はクレア。白魔導士よ。ここの主に会わせなさい!!」
クレアはふんっと鼻から息を吐く。
「誰が同じ事を言えって言ったんだよ!」
門番は声を大きくしてツッコむ。
「恐れながらクレアお嬢様。この者達はこのコロニーに来た理由を聞いているようです。まずは訪問の理由を理解させる必要があるかと存じます」
デニアは丁寧に腰を折り説明する。
「む?そうなのか?これだから下っ端は困るのぉ」
クレアは、はぁとため息を吐く。
「こ…こいつら…」
2人の門番は顔を真っ赤にして、プルプルと震えだした。
「あーー!すいません!すいません!!」
アナナスは大急ぎでクレアの元に走り寄り、クレアと門番の間に入る。
「オレは鋼鉄の盾のアナナス。冒険者だ。こいつらはオレの仲間なんだ。失礼を働き申し訳ない!」
アナナスは門番に平謝りする。
顔を真っ赤にしていた門番は、アナナスを見るとパァと明るい表情になる。
「あなたは、あのアナナス殿ですか!」
「え?あぁ、オレは鋼鉄の盾のアナナスだが…。 オレを知っているのか?」
アナナスはキョトンとして門番を見る。
「もちろんですよ!アナナス殿ほど有名な冒険者はいませんよ!アナナス殿に会えるなんて光栄です!」
2人の門番はアナナスの手を握りブンブンと振る。
「お、あ、ありがとう…」
アナナスは少し照れて頭を掻く。
「いや、それにしてもうちの仲間が失礼した。オレ達は今、魔界に侵略しにきたあいつらと戦う準備をしているんだ。なんとかここの主と会うことはできないだろうか?」
アナナスが門番に説明すると、門番はアナナスの口を押さえ、反対の手で自分の口の前で『しー』とする。
「アナナス殿、とりあえずこちらでお話ししましょう。誰が聞いているか分かりませんので…」
門番は辺りをキョロキョロと見渡し、誰も居ないことを確認すると休憩用の小屋にアナナス達を案内する。
「これ、お前達。さっさと主と会わせぬか。そうすれば話しは終わるのだ」
クレアは、ふんっと鼻から息を吐いて仁王立ちしている。
アナナスはクレアの両肩に手を置き、力無くお願いをする。
「クレア、頼むからもう黙っててくれ…」
「アナナス殿も大変なんだな…」
門番は哀れむようにアナナスを見つめていた…




