表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第2章 反撃編
47/148

廃コロニーへの移動

ルビアの『お願い』がよく効いたようで、森の中心辺りで何度か魔獣と遭遇したが、ほとんど無傷で森を抜けることができた。


森を抜けると草原が広がっており、空を見ると遠くに『黒い穴』が空いているのが見える。


「ここから2日ほど歩くと湖が見えてきます。その湖の東側にインクローチャーの都市があります。ちょうどあの黒い穴の下くらいです。そして、都市を囲むようにインクローチャーに降伏したコロニーが点在しています」

ルビアは森の出口で立ち止まり、空の黒い穴を指差して説明する。


「ふむ。遮蔽物が何もないな…」

ゲンゲは辺りを見渡してつぶやく。


「はい、ここからは隠れられるようは場所はありません。一番近いコロニーで1日歩く必要があります」


「ルビア、その一番近いコロニーの近くに破壊されたコロニーなどはあるか?」


「はい、コロニーの手前にあります。ここからなら半日で着くと思います」


「うむ。では、まずはその破壊されたコロニーを目指すとしよう。草原は隠れる場所がないから日が沈んでから移動する。それまではここで待機だ」




◇◇◇◇



日が傾き、夕焼けが草原に沈もうとしていた。


「魔界は変わってしまったけど、草原に沈む夕日は相変わらずキレイね…」

ルビアは木に登り、枝に座って沈む夕日を見ていた。


「ルビアさまー!そろそろ準備してくださーい」

木の下からシオンが呼んでいる。


「わかったー」

ルビアは木を降りようとした時、夕日の中に空に浮かぶ物体の影を見つけた。


「みんな!隠れて!飛行船がくる!」

ルビアは叫ぶと、木の下で移動の準備をしていたゲンゲ達は急いで木の影に隠れた。



ゴウン… ゴウン… ゴウン…


1機の飛行船は夕日をバックにして空を飛んでいた。


ルビア達は木の影に隠れ、息を潜めて飛行船が通り過ぎるのを待つ。


この飛行船は、いつも襲撃にやってくる飛行船に比べると一回り小さく、人が乗るゴンドラには装飾がされていた。

飛行船はそのままゆっくりとインクローチャーの都市へ向かって飛んで行った。



「ふう、行ったみたね…」

ルビアは飛行船が通り過ぎるのを確認して木から降りた。


「あの飛行船はインクローチャーの都市に向かっていたようだったな…」

コーナスは木の影から出てきて、過ぎ去った飛行船の影を見ている。



「なんや、いつもの飛行船とは違って小さいし、ちょっと豪華やったなぁ?」

クレオメは小さくなっていく飛行船の影を見ながらつぶやいていた。


「アレは襲撃と言うより観光に使うような感じだったな。あんな派手な装飾をしていたら、すぐに見つかってしまう」

コーナスがつぶやくと、クレオメが目を見開き叫ぶ。


「観光!? あいつらちょっと舐め過ぎやで」


「ふむ。まぁ、ここで考えても答えはでん。とにかく廃コロニーへ移動し拠点を確保するぞ」

ゲンゲは荷物を担ぎながら、みんなに出発を促す。


「そうじゃの。ゲンゲ殿の言う通りじゃ。ほれ、出発するぞ」

アナナスは鋼鉄の盾メンバーに声を掛けて出発の準備を再開し、それに続き全員が準備を再開する。


「夜間の移動は危険が伴う、それに目立たないよう灯りは最小限とする。みな、十分注意して進むように!」

ゲンゲは全員に注意を促して出発した。



あたしは魔力感知を、シオンは敵意感知を展開し歩き出した。あたしの魔力感知とシオンの敵意感知は直径500m範囲を感知できるのでよほどの事がない限り奇襲を受けることもないだろう。


明け方、遠くにモンスターらしき反応は感知したが、あたし達は無事、廃コロニーに到着できた。

廃コロニーはほとんどの建物が破壊されており、あちこちが焼かれおり、人影やモンスターの影も見当たらなかった。

廃コロニーの中心から少し外れた所に、破損が比較的マシな建物があった。

建物は石造りの2階建で、まわりの建物よりは丈夫な造りだったようだ。中に入ると広めの部屋があり、そこにはテーブルやイスが散乱しており、奥には受付カウンターがあった。どうやらここは元ギルドのようだった。


「ここをオレ達の拠点としよう。元ギルドならいろいろと資材もあるかもしれん」

ゲンゲはそう言うと荷物を下ろし、部屋の中を見て周る。


「あ、ゲンゲ殿。ここに地下に降りる階段があります」

コーナスは受付カウンターの奥にある階段を見つけた。

階段を降りると少し広い部屋があり、革鎧やスケールメイル、ソードやショートソード、シールドなどなど武器や防具が保管されていた。


「ここは初心者の冒険者に貸し出したり、ランク試験で使用する武器や防具が保管されている部屋だな。各ギルドの初心者支援の一環だ」

ゲンゲは部屋を見ながら説明してくれた。


「ふむ、ここの防具や武器は使えそうじゃな」

アナナスはいくつかの防具や武器を手にとり状態を確認していた。


ゲンゲはバスターソードで一度床を叩き注目を集める。

「よし、この部屋を作戦会議室としよう。では、これからの行動を説明する。まずは降伏したコロニーの状況を確認し、都市への侵入経路を捜索だ。役割はアナナス率いる鋼鉄の盾とクレオメ率いる暗闇の道化師、それにルビアとシオンは3手に分かれて近辺の降伏したコロニー3カ所で情報収集。コーナス率いる竜の牙はオレとココで拠点を整備だ」



「はい!」


さっそくあたし達は反撃に向けて行動を開始した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ