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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第1章 旅立ち編
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ルビアの居場所

ヘレボルスとの闘いから3日後、あたし達はギルドに来ていた。


「ルビアさま、シオンさま、お待ちしておりました」

ギルドの受付嬢ネリはにこやかにあたし達を出迎えてくれた。


昨日、ギルドからランク試験結果のプレートができたと連絡があったのだ。




ギルドからの連絡があった後、あたしは試験結果のプレートのイメージが判らず、コーナスに教えてもらった。


プレートは試験種別毎にあり、プレートの素材でランクが判るようになっているそうだ。

試験種別は、近接戦、遠距離戦、黒魔道、白魔導の4種類あり、各種別毎にブロンズ級、アイアン級、シルバー級、ゴールド級、プラチナ級、ミスリル級、アダマンタイト級と7種類のランクが付いている。近接戦のシルバー級なら、銀製の近接戦プレートが貰えると言う具合だ。

そう言ってコーナスは、自分の銀製の近接戦プレートを見せてくれた。


プレートには試験種別が判るように『近接戦には剣と盾』、『遠距離戦には弓矢』、『黒魔導には杖』、『白魔導には手』が彫られている。

コーナスのプレートには『剣と盾』が彫られていた。


ミモザにも見せてもらうと鉄製の白魔導と、青銅製の近接戦の2つを持っていた。

「私は白魔導が基本だけど、少しは戦えるのよ」

と、自慢していた。


ちなみにアキレアにも見せてもらうと、銀製の遠距離戦、鉄製の近接戦の2つを持っている。


「……ふっ」

アキレアはコーナスに2つのプレートを見せつけると


「オレは竜人だから、近接戦専門なんだよ!」

と、コーナスが反応していた。


アキレアがコーナスをからかい、コーナスが騒ぎ出す。いつもの光景だ…


あたしはプレートのデザインで、白魔導がなぜ『手』なのか分からず悩んでいるとミモザが答えてくれた。

「白魔導のデザインの『手』は、癒しを意味しているのよ。白魔導は手を当てて傷を癒すからね」


「なるほど… 傷を治す事を『手当て』するって言いますもんね」


「そうね。『手当て』それが白魔導の基本なのよ」

ミモザは自分の手を胸にあて、愛おしそうに抱いていた。





ギルドの受付嬢ネリは、あたしとシオンにカウンター越しにある椅子に座るように促すと、引き出しから3つのプレートを取り出し、鉄製の近接戦プレートをシオンの前に、白金製の近接戦プレートと、白金製の黒魔導プレートをあたしの前に置く。

「ルビアさま、シオンさま、先日の試験お疲れ様でした。試験結果のプレートができましたのてお受け取りください」


「あれ?あたし黒魔導はゴールド級だったはずじゃ?」


「はい、試験ではゴールド級との事でしたが、ヘス様との闘いによりプラチナ級に昇格したとローダンセ試験官がご判断されました」


「おお!ルビアすげぇな!プラチナ級のプレートなんて初めて見たぞ!」

後ろに立っていたコーナスが興奮している。


あたしは黒魔導のプレートを手に取り、裏面を見ると


冒険者名 ルビア

所属パーティ 竜の牙

発行者 ローダンセ


近接戦のプレートには


冒険者名 ルビア

所属パーティ 竜の牙

発行者 ゲンゲ

と刻印されていた。


「所属パーティ 竜の牙…」

あたしの居場所が刻印されている…


「ルビア、シオン、竜の牙にようこそ。これからもよろしくな」

コーナスはあたしの肩を叩いて微笑む。


「ルビアちゃん、シオンちゃん、よろしくね」

ミモザがあたし達を抱きしめる。


「………」

アキレアは黙って頭を撫でてくれた。少し笑っているように見えたのは、あたしの気のせいではないはず…



あたしは、白金製の近接戦と黒魔導のプレートを首から掛け両手で握りしめる。

「コーナスさん、ミモザさん、アキレアさん。これからもよろしくお願いします」

あたしとシオンは深々と頭を下げた。


「ルビア、オレたちは仲間だ。こう言う時は頭を下げるんじゃなくて、こうするんだよ」

コーナスはあたしと、シオンの手を取り硬い握手を交わす。

その握手にミモザとアキレアが手を乗せ、笑っている。


「はい!」



「すいません、ルビアさま」

ネリが申し訳なさそうに声をかけてきた。


「はい?なんですか?」


「ヘスさまからの伝言です。プレートを受け取ったら、竜の牙の仲間達と屋敷に来て欲しい。との事です」


「ヘスちゃんさんが?」


「はい」

ネリは相変わらずの営業スマイルで応える。


「コーナスさん、この後、何か用事ありますか?」

ルビアはコーナスに振り返り尋ねる。


「いや、特にはないが… いったい何の用だろう?」

コーナスは思い当たる事がなく、頭をひねっていた。


「ヘスちゃんさんが呼んでますし、とりあえず行きましょうか…」


「そうだな、とりあえず行ってみよう」



あたし達はギルドを出て、コロニーの中心にあるヘレボルスの屋敷に向かった。


屋敷はギルドから30分くらい歩いた所にあり、高台の上にあった。


「久しぶりだなー」

コーナスがつぶやく。


「あ、そうか。元々、ここはコーナスさんのお家だったんですよね」

ルビアは、コーナスがこのコロニーの元主『ドラセナ』の孫だったことを思い出した。


「あぁ、ここにオレ達3人は住んでいた。あの頃と何も変わってないな…」

懐かしそうに屋敷を見るコーナス。



「コーナスさま!お久しぶりでごさいます!」

屋敷の玄関から、黒いスーツを着た白髪の老紳士が出てきた。


「おお!ジニア!元気だったか!」

コーナスはジニアに駆け寄ると肩を叩き喜んでいる。


「ジニアさま、お元気そうでなによりです」

ミモザとアキレアはコーナスの後ろに並び礼をする。


「はい!コーナスさまもお元気そうでなによりでごさいます。ミモザ、アキレア、お前たちも元気そうでなによりじゃ」


「そちらのお嬢さま方がルビアさまと、シオンさまですね。私、この屋敷で執事をしておりますジニアと申します」

ジニアはこちらを向き、ジニアは丁寧に腰を折る。

「はじめまして、あたしはルビア。この子がシオンです。よろしくお願いします」


「あぃー」

ルビア達は深々とお辞儀をする。


「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。早速ですが、ヘスさまがお待ちになっております。みなさま、どうぞこちらへ…」

ジニアは微笑むと屋敷の横にある、真新しい建物へルビアたちを案内した。

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