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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第1章 旅立ち編
35/148

闘える魔導士

草原には2つの人影があった。

1つは3m超えの巨人。もう1つは身長120cmの子供。

あまりに対照的な2人は向かい合っていた。


「ルビアちゃん、魔道も使えるそうね。『()()魔導士』?それとも『魔導が使える武闘家』?」

ヘレボルスはニコニコしている。


「んー、『()()()魔導士』でお願いします」

ルビアは、かあさま(魔道士)をメイン、とおさま(武闘家)をサブとした。ただ、とおさま(武闘家)をメインにするのがイヤなだけなのだが…


「はーい、ルビアちゃんは『()()()魔導士』ね」

うんうんと、頷くヘレボルスは闘気を滾らせる。


ルビアもヘレボルスを『ギンッ』と睨み、闘気を滾らせた。


「ルビアちゃん、いい闘気ね。すばらしいわぁ」

ヘレボルスが獰猛な笑顔になる。


「ありがとうございます。本気でいきますね」

ルビアはそう言うと呪文を唱える。


「マジックミサイル!」

ルビアの前に対戦車ミサイル並みの光の矢が7本出現し、ヘレボルスへ射出される。


ドガガガガガ!!


マジックミサイルは全てヘレボルスに命中し、爆発音と共に爆煙が立ち込める。

草原に風が吹き爆煙が流されると、ワンピースがボロボロになっただけで無傷のヘレボルスが立っていた。


「あらぁ、ワンピースがダメになっちゃったわぁ」

ヘレボルスは埃を払うように体を叩き、ボロボロになったワンピースを払い除けた。

ヘレボルスは胸だけのタンクトップと、膝上丈のスパッツを履いていた。見た目は巨大な女子プロレスラー(オカマ)だ。


「可愛いワンピースだったのに… ごめんなさい」

ルビアは謝ると、腰を落とし大地を蹴るヘレボルスへ突進する。


ヘレボルスは少し屈み、バトルアックスを地面スレスレに横殴りする。ゴウッと音を立ててバトルアックスがルビアを襲う。


ルビアはバトルアックスを足場にし、腕へと走るとヘレボルスの鼻を狙ってキックを放つ。


バシッ!!


ヘレボルスの鼻とルビアの足の間には、ヘレボルスの左掌があった。


「ルビアちゃん、顔はダメ………よっ!!」


ルビアは足を掴まれ投げ飛ばされる…が、投げ飛ばされながら右手の人差し指をヘレボルスの右肩辺りに向ける。

「ライトニング!」

ルビアの人差し指から稲妻が走る。


「っ!!」

ヘレボルスは無理矢理体を捻り、右肩の皮一枚で稲妻を回避した。

稲妻はそのまま数メートル直進し放電して消えた。


ルビアは受け身が取れず、背中から地面に叩きつけられ数回バウンドして止まった。


「いててて…」

ルビアは立ち上がり前を見ると、ヘレボルスが右肩から突進してくるところだった。


「っ!!  ウォーール!!」

ルビアの前に高さ3m、横2m、厚さ1mの土の壁が現れる。

ヘレボルスはそのまま土の壁に突撃し、土の壁を破壊した。

もうもうと立ち上がる土煙の中からヘレボルスの姿が現れる。


「ルビアちゃん、どこかな?」

ヘレボルスは粉砕した土の中にルビアがいないか見回すが、ルビアの姿は見つからない。


「ファイヤーボール!」

突然、ヘレボルスの上空から声が聞こえた。

ヘレボルスが上を見上げると、頭上5mくらいからルビアが落下中であった。

ルビアはヘレボルスに右手を向けており、右手には無数の炎が集まり直径2mの炎の塊が出来つつあった。


「当たれーーー!」

ルビアが叫ぶと同時にファイヤーボール(巨大な炎の塊)はヘレボルスへ向かって発射された。


「っ!! うおらぁ!!」

ヘレボルスが()()()で叫び、左手でファイヤーボール(巨大な炎の塊)を払った。


払われたファイヤーボールは草原と並行に飛んで行き、100m先にあった岩ぶつかる。

岩は赤く溶け、体積を徐々に増やすと大爆発を起こした。


爆風が吹き荒れ、数名の見学者達が吹き飛ばされる。

ゲンゲやコーナス達、竜の牙メンバー達は身を屈め爆風に耐えていた。


「ルビアちゃーん。あなた、いいわぁ」

ヘレボルスは爆風を物ともせず、うっとりとルビアを見ていた。


「…魔導、当たらないなぁ。どうしよかなぁ」

ルビアは爆風を利用して着地時のダメージを減らし、立ち上がって考えていた。



「それじゃ、あたしから行くわよぉ」

ヘレボルスはバトルアックスを構え腰を落とすと、大地を蹴った。

ルビアとの間にあった約20mの距離は、たった3歩で0mになる。


「っ!!」

ルビアは回避行動をとるが、それよりバトルアックスを振り抜く方が速かった。


ルビアはとっさに両腕をクロスし防御するが、そのまま吹き飛ばされる。

ルビアの腕がミシミシと悲鳴をあげる。




「んー、ルビアちゃん大丈夫?  …その腕(それ)

ヘレボルスは首を傾げながらルビアを見ていた。


「???」

ルビアが自分の腕を見ると、両腕が力なくダラリとしていた。


「ぐっ!!!!!!」

急激に激痛が走る。


「んんー… ふぅっ!」

ルビアは短く息を吐き、腕に集中する。


「はぁ… うん!もう大丈夫! あぁ、ビックリしたぁ」

ルビアは肩を回し、掌をグーパーする。


「ええ!? ルビアちゃん?」

ヘレボルスは小さな目を大きく見開いている。


「あ… えーと、治りました。オニだから?」

てへへ と笑うルビア。


「……よくわかんないけど治ったなら行くわよ!」

今度はヘレボルスのバトルアックスが頭上から振り下ろされる。


ズカンっ!


ルビアはサイドステップで躱すと、バトルアックスは地面にめり込む。

そのスキに、ルビアは一度距離を取り、体勢を整えて考える。


「魔導は躱されるからなぁ… かと言って打撃はあまり効いてないし…」

うーむ、と腕を組み考えると、ポンッと手を叩く。


「あ!そうだ!コレならいけるかも!」

ルビアは、ヘレボルスを見てニヤリと笑っていた。



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