新しい力
翌日、あたし達は町のアイテム鑑定の店に来ていた。
「ルビア、これから旅をするのに自分達の装備を詳しく知っているのか?」
昨晩、コーナスはそんな事を言い出したのだ。
あたし達が、よく分からないと答えると、
「自分の装備をキチンと理解していないと、武器の能力を発揮できないし、いざという時に困ることになりかねない。それに自分の装備は、ちゃんと把握し最大限に活用しなければ命を落とす事にも繋がるのだ。」
と、お説教されたのだ。
鑑定の店に来る前、アキレアはそのアイテムがマジックアイテムか、ノーマルアイテムかを鑑定できるらしいのであたし達の装備を鑑定してもらった。すると、あたしのチェインメイル、龍の装飾がされたナックル、シオンのショートソード(元ルビアの装備)の3つがマジックアイテムだとわかった。この3つのマジックアイテムを鑑定してもらうことになったのだ。
その店にはさまざまなアイテムが陳列されていた。
魔法の武器や防具、アイテムが並んでおり、どれも高価な物だった。ふと、見慣れた水筒があった。あの水が湧き出る水筒だ。クルクマはこう言う店で買ってきてくれたんだなぁ… と、思い出に浸る。
店のカウンターには、50歳くらいのスキンヘッドで強面の男が1人、ヒマそうに座っていた。
「すいません。鑑定をお願いしたいのですが…」
コーナスは男に声をかける。
「はい、鑑定ですね!」
男が愛想よく対応する。
「…!」
あまりのギャップにあたしは困惑していると
「ふふふ ビックリした?」
ミモザが囁いてきた。
「はい…」
「わたしも初めての時はビックリしたわ。でも、あのおじさん、すごく優しいのよ。見た目は怖いのにね」
ふふふと、口元を隠しながらミモザは笑っていた。
コーナスはカウンターにチェインメイルなど3つのアイテムを置き
「この3つをお願いします」
「はい!この3つですね。鑑定料は1つ銀貨1枚ですがいいですか?」
強面の男はニコニコしながら接客している。
「はい、お願いします」
「では、今から鑑定しますのでしばらくお待ち下さい…」
そう言うと、男はその場で鑑定を始めた。
コーナスは少し屈み、あたしとシオンと目の高さを合わせて
「少し時間がかかるから、適当に時間潰そうか」
「はい」
あたしは付近にあった椅子に腰掛けて、店を見渡す。
ふと、スライムとの戦いを思い出した。
(そういえば、あの時、ユニークスキル略奪者が発動していたな…)
あたしは目を瞑り、自分のスキルを確認する。
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【スキル】
ルビア(かえで) オニ
「ユニークスキル」
略奪者
[食べるか食べられると相手の身体かスキルを奪う。]
(発動条件)
①ルビアも対象者も生きていること
②対象者がレジスト失敗すること
《対象者がレジスト成功した場合》
ルビアが食べた場合→効果なし
ルビアが食べられた場合→対象者に捕食されルビアは死亡する
捕食者
[体のどの部位ででも捕食することができる]
(発動条件)
①ルビアが対象者、対象物に触れること
②対象者、対象物がレジストに失敗すること
《対象者がレジストに成功した場合》
捕食者は無効になる
「スキル」
剛力無双(極) 攻撃力が大幅に上昇
体力増加(極) 体力が大幅に上昇
身体能力強化(極) 基本的な身体能力が大幅に上昇
瞬発力強化(大) 瞬発力が上昇
魔力感知(大) 一定範囲内の魔力を持つモノ(生き物、物品など)を感知(現在の範囲は500m以内)
聴力(大) 聴力が上昇
状態異常無効 毒や麻痺など状態異常が無効
寒熱耐性(大) 暑さ、寒さの耐性が上昇
身体回復(極) 身体の50%以内の欠損を復元
物理攻撃耐性(大) 剣やハンマー、弓矢など物理的なダメージを軽減
魔法攻撃耐性(大) 魔法によるダメージを軽減
威圧(大) 自分より弱い者へ精神的ダメージを与える
四大魔法(極) 火、水、土、風魔法使用可能
二大魔法(大) 光、闇魔法使用可能
魔力制御(大) 自身の魔力を制御する
魔力増加(極) 自身の魔力量を大幅に上昇
魔法効果(極) 発動する魔法の効果を大幅に上昇
酸耐性(大) 腐食性物質(塩酸、水酸化ナトリウム、水銀など人体や物質を腐食させるもの)に対する耐性が上昇
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あ、ユニークスキル『捕食者』と、スキル『酸耐性(大)』が増えてる…
スライムってユニークスキル持ってたんだ…
で、捕食者は『体のどの部位でも捕食できる』か。
捕食ってことは、食べるって事よね?
略奪者と相性いいんじゃないかな?
どの部位って事は、口以外でも食べれるって事かな?
あたしは自分のお腹が『キシャー』って大きな口になって、何かを食べる想像をしてしまった…
んー、あたし化け物みたい…
少し凹む…
あと酸耐性(大)は、『腐食性物質に対する耐性上昇』か…
あ!と言うことは胃酸にも耐えれるって事?
何か大きなモンスターに食べられても、少しは耐えられるって事ね!
うーん、試したくないし、食べられたくない…
スキルは増えたが、凹んでいるとコーナスが近寄ってきた。
「ルビア、鑑定が終わったみたいだ」
「はい!すぐ行きます」
あたしは、パッと顔を上げてコーナスとカウンターに向かった。




