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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第1章 旅立ち編
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オークvs竜の牙

オーク2体とゴブリン5体がこちらへ突撃してくる。

ゴブリン3体は弓を引き絞り狙いを定めていた。


ミモザはコーナスの背中に手を当てると呪文を唱える。

「物理耐性向上… 身体能力向上…」

コーナスの体が淡く光り、元に戻る。


「ありがとう!」

コーナスは礼を言うと、腰を落とし気合いを入れる。


「竜化!」

コーナスの身体はドラゴンの鱗に包まれ、鋭い爪が伸びた手でバスターソードを握りゴブリン達へ突撃を開始した。


コーナスが突撃する後方からボウガンの矢が放たれた。ボウガンの矢は吸い込まれるように、弓を構えているゴブリンの額に命中し絶命させた。


ゴブリン2体が矢を放つ。矢は放物線を描きながらコーナスへ向かうが、コーナスはサイドステップで難なく躱す。


すぐにボウガンの矢が放たれ、弓を持つゴブリンに命中しゴブリンが倒れた。


コーナスとゴブリンの距離が近くなったとき、

「竜剣!」

コーナスが持つバスターソードから白いモヤのような、湯気のようなモノが発生した。


「ぬぅぅぅん!!」

コーナスはバスターソードを両手で持つと、両腕が一際大きくなり大気を切り裂く音と共にゴブリン3体を横に薙ぎ払う。


ゴブリンは断末魔をあげ、その場に崩れ落ちた。


背後からボウガンの矢が、ヒュン!と飛ぶ。

弓を持つ最後のゴブリンの胸に命中した。ゴブリンは弓からショートソードに持ち替え突撃してきた。


足が遅いオークがゴブリンに追いつき、バトルアックスをコーナスの頭上に振り下ろした。


コーナスはバスターソードで受け流しサイドステップで距離をとると、そこにゴブリンがショートソードで斬り付けてくる。


ヒュン!

コーナスの頬を掠めるように、ボウガンの矢が通り過ぎ、ゴブリンの額にボウガンの矢が突き刺さる。


コーナスは大きく息を吸い込むと、口を大きく開けファイヤーブレスを吐き出した。

ファイヤーブレスは約2m先まで届き、目の前のオーク2体と、ゴブリン1体を焼き尽くした。


黒コゲになったオークとゴブリンは膝をつき、その場に崩れ落ちる。


弓からショートソードに持ち替えて突撃してきたゴブリンは、その状況を見てそのまま回れ右をして森へ逃げて行った。




「す…すごい…」

ルビアは呆気に取られていた。


「うちのリーダーも、射手もすごいでしょ?」

ミモザはニコニコしている。


「はい…」

驚き過ぎて言葉が出ない。


ミモザは口元を隠して、ふふふと笑っていた。

シオンはショートソードを鞘に戻し、ルビアに近づくとショートソードをルビアに返してきた。

「ルビアさまぁ、ありがとうございましたぁ」


「あ、うん… シオン、そのまま持ってて。あたし使える自信ないし…」

ルビアの戦闘スタイルは肉弾戦だ。剣を持っていてもほとんど使わないのだ。


「いいんですかぁ?」

「うん、あたしよりシオンの方が使えるでしょ?」

「あぃー。では、シオンが持ってますねぇ」


戦場からコーナスが戻ってきた。

コーナスの体の鱗や爪は無くなっており、いつもの姿に戻っていた。

「ケガは無かったかい?」

コーナスは微笑んであたしとシオンの頭を撫でる。


「ちょっと!コーナス!手を洗ってからにして!ルビアちゃんとシオンちゃんに血が付くでしょ!?」

ミモザがあたし達を抱き寄せ、返り血が付いてないか確かめている。


「あ!あぁ!すまない!」

コーナスは両手を引っ込めて、返り血を流しに行ってしまった。


アキレアが近付いてきて

「……オレ、返り血ない…」

ボソリとつぶやくとあたし達の頭を撫で、コーナスを見てニヤリと笑った。


「あ、アキレア!オレが先に撫でるつもりだったのに!」

コーナスは手を洗いながら叫んでいる。


「……ふっ」

アキレアは、満足したように離れて行った。


「アキレアって、何かとコーナスをからかうのよね…」

ミモザは苦笑いしながら、コーナス達を見ていた。


あははははは

さっきまでの戦いが嘘だったように、あたし達は笑っていた。


返り血を洗ったコーナスが帰って来た。


「コーナスさん、すごいですね!火とか吐けるんですか!」

あたしは少し興奮気味で話しかける。


「ああ!オレは竜人だからな。それにオレはあのドラセナの孫だ!最強だぜ?」

がははははは と豪快に笑うコーナス。


「そうですね!」

あたしも笑っていた。



戦いのあと、あたし達はヘレボルスのコロニーに向けて歩いていた。

夕方になり、野営できる場所を探しながら歩いていると大きな岩があった。


「今夜はあの岩の所で野営にしよう」

コーナスが岩を指差し提案し、岩の近くに移動した。


岩の付近は他の人も夜営していたようで、野営の痕跡がいくつも残っていた。


ミモザは夕食の準備を、アキレアは焚き火の準備をしている。

「少し森が近いのが気になるが、この辺は仕方ないな…」

コーナスが周りの状況を確認して戻ってきた。


「まぁ、この辺はどこも同じよ。仕方ないわ」

ミモザは夕食の準備をしながら答える。


あたし達は夕食時に座る石や寝床の用意をしていた。


「さぁ、夕食ができたわ。暖かいうちに食べましょ」

ミモザの声にみんなが集まる。


焚き火を囲んで、昼間の戦いの話しをしながら楽しい時間を過ごした。



夜になり、夜番を残して体を休める。

最初の夜番コーナスとシオンの時間が終わり、あたしとミモザに交代する。


ミモザは焚き火に小枝をくべながらお湯を準備している。

「ミモザさん、どうしてあたし達を仲間にしてくれたのですか?」

あたしはずっと引っかかっていたことを聞いてみた。


「ん?それはね、コーナスはあなた達みたいな子を放っておけないのよ。もちろん、私もアキレアもだけどね。まあ、コーナスはドラセナさまのお導きだぁって言ってるけど、本音はそこだと思うわよ」

ミモザはお湯をカップに入れ、ルビアに手渡す。


「あたし達は、みなさんの優しさに甘えてばかりで…」

ルビアは手にしたお湯を見つめながら、ポツリとつぶやいた。


「ルビアちゃん。あなたはまだ10歳なのよ?大人に甘える事は恥ずかしいことじゃないわ」

焚き火の灯りに照らされたミモザは、慈愛に満ちた『かあさま』のようだった。


「…ミモザさん。  あたし…」

あたしは旅に出なければならなくなった理由を話すか悩んでいた。理由を話すには自分の出生やマヴロに届いた招待状のこと、そこであたしが戦い、手を抜いてしまった事。戦いで手を抜くことは魔界では許されない事で、それを知ったミモザさんやコーナスさん、アキレアさんがどんな反応をするのかが怖かった。だから、今まで話せずにいたのだ…


「ルビアちゃん、無理しなくていいのよ?私達は何があってもあなた達の味方だから、ずっとこのままでもいいんだからね」

ミモザは微笑んでルビアを見つめる。


「…あ、あたし    ……!!」

その時、あたしは魔力を感知した。


同時にテントからシオンがモソモソと顔を出した。

「ルビアさまぁ…」

「うん、わかってる!ミモザさん!敵が来ます!」


「え!?」

ミモザは立ち上がり焚き火の火を松明に移し、辺りを照らす。


正面には複数の赤い目が光っていた。




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