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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第3章 悪魔編
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希望という光

(とにかくマモンの動きを鈍らせないと…)

あたしはマモンをキっと睨み、攻撃を開始する。

マモンは光の剣もシールドも無くしてしまった。肉弾戦ならあたしに分があるはず。


あたしは腰を落とし、大地を蹴ってマモンとの距離を詰める。

「うぉぉおおらぁ!」

あたしの右ストレートがマモンを狙い撃つが、マモンは翼を広げて中空に回避しニヤニヤとあたしを見下ろしている。


「ちっ 空飛ぶなんてキタナイわね」

とりあえず悪態をついてみる。


「ふふふ わたしは元々天使ですから。それに戦いにキレイもキタナイもないでしょ?」


「うっさい! 降りてこい!」


「これだから低俗な輩は…」

マモンはやれやれとため息を吐くと、あたし目掛けて急降下し赤い爪で攻撃を開始した。


「っ!」

あたしはギリギリで躱すが、爪が頬を擦り血が流れる。


マモンはそのまま中空に戻り、赤い爪に付いたあたしの血を舐める。

「ふふふ、これからはずっとわたしのターンですよ」


マモンは急降下して爪で攻撃し、中空に戻るヒットアンドウェイを繰り返す。


あたしは徐々にキズが増え、着ていた布の服はボロボロになり白いチェインメイルが姿を見せ始めていた。


「このやろう…」

中空でニヤニヤしているマモンを睨み、右手を横に広げる。


「マジックミサイル!」

広げた右腕辺りから対戦車ミサイル並みの大きさのマジックミサイルが10本現れ、マモン目掛けて射出される。


「はぁ? 10本? それになんですかその大きさは!」

マモンはマジックミサイルを回避するように横に飛ぶ。


「ふ、あたしのマジックミサイルは追尾機能付きよ!」

マジックミサイルはマモンに向かって軌道を変えて追尾する。


「小賢しい!」

マモンが飛びながら羽をばら撒くと、マジックミサイルは羽に当たり中空で次々と爆発する。


「それなら! ヒート・ビーム!」

あたしはマモンを指差し呪文を唱えると、指先からビームが飛びマモンを狙う。


「くっ!」

マモンは体を捻りビームを回避すると、急降下し爪で攻撃する。


「っ!」

爪はあたしの左腕の肉を抉り取っていった。

いつもならすぐに治るのだが、オドの流れが緩やかになった今は傷が塞がる気配もしない。

あたしは右手で傷を押さえて止血を試みる。


「ふふふ、言ったでしょ? ここから、ずっとわたしのターンですって」

マモンはニヤニヤしながら、中空に浮いている。


「くそぉ それなら! マジックアロー!!」

マジックミサイルの下位版マジックアロー。爆発はしないが刺さればある程度のダメージはあるはず!


あたしは、初めて使うマジックアローに驚きを隠せなかった。

マジックアローを唱えると光の矢があたしの前に現れたのだが、その数は数百本現れたのだ。


(な… なんだこれ?)

あたしの目の前に広がる数百本の光の矢。さすがに自分でも引いてしまう光景だった。


「マモン! コレ、避けれる?」

ニヤリと笑いマジックアローを射出する。数百本の光の矢がマモンを覆い尽くすかのように襲い掛かる。


「本当に、貴女はデタラメですね!」

マモンは翼で全身を隠し光の矢の雨に打たれた。

黒い羽には無数の光の矢が刺さり、まるで光の翼のように輝くと、使命を果たした光の矢は粒子となって消えていった。



「ふぅ ふぅ…」

あたしはツノが解放されてからマナが絶えることなく供給されていた。しかし、今は使えるマナが体に蓄えている分しかない。

あたしの規格外の魔導は大量のマナを消費するようで、これまでのように魔導を乱発できそうもなかった。


「おや? 息があがってますよ?」

マモンはニヤリと笑うと翼を羽ばたかせ、無数の羽を弾丸のように飛ばしてくる。


「あたしには効かないって言ってるでしょ!」

風属性魔導を全身に纏い、羽の弾丸を回避する。


(くっ! 魔導を纏うとマナの消費量がハンパない…)


あたしはマナの残量を考えながら、マモンと戦わなければならなかった。



◇◇◇◇


その頃、赤い玉に封印されたリリウムとティモルを受け取ったコーナスは、先程のニームとの会話に引っかかっていた。


(なんだ? 何かが気になる…)


ルビアの戦いの一部始終を記憶しようとするが、何がが気になってしかたなかった。

ルビアが劣勢になってくると、余計に気になる…


「そうか!」

突然、コーナスが叫ぶとミモザ、アキレア、アオイが驚いたようにコーナスを見る。


「ニームさん! さっき、マモンの中にいた時の記憶があると言ってましたね?」

コーナスはニームの両肩を掴み、ガクガクと揺らす。


「え? …あ、はい」

首をガクガクしながら、ニームは答えると


「どんな感じだったんですか? マモンの中でニームさんはどういう状態だったんですか?」


「えと、わたしはボンヤリとですがマモンの中から外が見えていました。 何をしているのか、全て見えていました。 しかし、何も考えられませんでした。 ただ、目の前で人が殺されていくのを見ているだけでした…」

ニームは少し俯きながら、その時の状況を説明する。


「なるほど。 つまり、今、マモンの中でシオンはこの戦いを見ている! シオンは意識はなくても、確実にこの戦いを見ているんだ!」

コーナスがマモンを見ながら叫ぶと


「そうか! シオンの意識が戻れば!」

アキレアが珍しく叫んだ。


「なるほど! シオンちゃんが目覚めたらマモンを追い出せるかも!」

ミモザも叫ぶ。


「そうだ! オレ達にできる事があった! シオンを呼び起こすんだ!」

コーナス達の目に、希望という光が輝いていた。

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