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100万人目の異世界転生者  作者: わたぼうし
第3章 悪魔編
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シオン救出作戦

「ルビアさんとミモザさんは最後まで話しを聞けてないので、少し説明しますね」

リリウムさまはそう言って、あたし達に来客用のソファーに座るように促す。

あたし達がソファーに座ると執務机に両肘をついて、組んだ指にアゴを乗せ、あたし達をゆっくりと見てから話し出した。


「今回の件の最終的な目標はシオンさんの救出です」

リリウムさまは真剣な眼差しであたし達を見る。

あたし達は、息を飲んでリリウムさまを見つめていた。


「マモンが天使の肉体を受肉する為には、いま与えられている肉体を捨てる必要があるのです。マモンは召喚者を殺すことで契約を破棄し、今の肉体を捨てシオンさんの体を受肉しようとするのです。ですから、わたし達はマモンが召喚者を殺す前に、召喚者を特定しマモンの襲撃に備える事が、シオンさんを救出する唯一の方法なのです」

リリウムさまはそこまで説明すると一口水を飲み、気持ちを落ち着かせるように深く息を吐いた。


「あ… あの、リリウムさま。悪魔は契約を破棄するんですか?」

あたしは少しだけ疑問が湧いた。

悪魔は契約に煩く、契約を破棄する事はない。

ただ、その契約内容は召喚者の願いを叶えるが、その代償は恐ろしく、言葉通り悪魔に魂を売る行為である。

それが『悪魔との契約』に対する、あたしのイメージだった。


「ルビアさん、相手は()()ですよ?自分の欲望の為ならなんでもします。人間だってそれくらいするでしょ?」


「た…たしかに…」

そうだった。相手は()()なんだ。

【かえで】の頃に読んだ物語やマンガと、この世界の現実とは違うのだった…

いや、この現実の方が()()()()()とも思える。

それに人間の方が平気で約束は守らないし、契約も破る、そしてウソもつく…

あれ?悪魔より酷くない?



「さて、肝心な召喚者の特定ですが、今ある情報で推測するとジギタリス帝国の元総督イノンドの可能性があります。ただし、なにも証拠はありません。わたしの憶測にすぎないのです。ただ、わたし個人の感覚ではイノンドが悪魔召喚をする可能性は、かなり低いと思っています」

リリウムさまはそう言って俯き、頭を横に振っていた。


「イノンド… あの蛇ヤローですか…」

あたしはイノンドを思い出し、頭に血が上りそうになる。


「ルビア、知ってるのか?」

コーナスさん達は、驚いてあたしを見る。


「あ、はい。以前、リリウムさまのお供をさせて頂いた時に、一度だけ会いました」


「あぁ… ルビアが暴れた、あの時の相手か」

コーナスさんは、ポンっと手を叩いて納得する。


「ちょ! コーナスさん?何か誤解してますよ?」


「ルビアが暴れたのに生きてたヤツだ。とてつもなく悪運が強いヤツか、コソコソと逃げ回るヤツかのどちらかだろう。まぁ、先程のリリウムさまの話しを考えると後者だろうな…」

コーナスさんは、腕を組んでウンウンと納得している。


「あの、コーナスさん。あたしの話し聞いて…」

あたしはだんだんと声が小さくなっていく。


「ルビアちゃん、…諦めなさい」

ミモザさんが、あたしの肩をポンポンと叩きながら苦笑いしていた。


「魔界の男って、こんな人ばっかり…」

がっくりと肩を落として……… 諦めた…



「そこで、わたしはもう一つの可能性を考えています。それは生き残りのコロニーの主がいる事です。現在、貴族さま達にお願いして、どこかで生き残ったコロニーの主がいないか探してもらっています」


「魔界の人ならジギタリス帝国に強い怨みがありますし、悪魔と契約してでもジギタリス帝国を滅ぼしたいと考えてもおかしくありませんね」

ミモザさんは胸の前で手を組み、悲しい顔をしていた。


「ですので、コロニーの主探しは貴族さま達に任せて、わたし達はジギタリス帝国に行き、アニス総督に相談してイノンドを調べさせてもらうことにしました」

リリウムさまは全員が理解できているか確認するように、あたし達の表情を見ている。


「リリウムさま、あたし達は何をすればいいですか?」

あたし達、竜の牙がここに呼ばれたのだから、何かする事があるはず。

イノンドはリリウムさまが調べ、コロニーの主探しは貴族さま達がする。

それじゃ、あたし達はいったい何を?


あたしの疑問に、コーナスさんが答えてくれた。

「オレたちはリリウムさまの警護だ。それと、悪魔マモンが現れた時はオレたちが戦う。オレたちの手でシオンを取り戻す。オレはそう誓ったのだ」

コーナスさんは拳を握りしめていた。


「コーナスさんにね、どうしても竜の牙を連れて行ってくれって頼まれたの。まぁ、最初からそのつもりでしたけどね」

リリウムさまはニコっと微笑んでいた。


「リリウムさま、コーナスさん… ありがとう…」

みんながシオンを助けようとしてくれている。

それが何よりも嬉しかった…


シオン、あなたは本当に幸せ者ね。

こんなにもみんながシオンを助けようとしてくれている。


だから、シオン…

必ず生きてて…

あたし達のもとに帰ってきて…

そして、またあたしと旅をしよう

あたしのサポートを出来るのはシオン

あなただけなのだから…

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