五話:お出かけ
「おそいわよ。レイ!」
「ごめんなんよ。色々あったんよ」
ただたんに、昼寝場所の下見に行っていただけなのだが・・・。
そんなこんなで、すごいけんかを目撃して玄関付近の雷撃のあとと、くっきりと浮かんでいた人の形の跡。それに加え、倒れている不良3人組。
「ご愁傷様なんよ・・・」
と軽く拝んで小走りに、校門に向かったのだがそこには、ご機嫌斜めのシェレンが、すごい剣幕で待っていた。
「もう10分も、待ったんだけど?」
「だから、悪かったって言ってるんよ・・・」
なぜ、こんなに突っかかってくるのかレイは全く理解できなかった。初めてあったはずのシェイカに、いつの間にか、親しみが生まれていた。
(なんか、調子が狂うんよ・・・)
「それより、はやく行くわよ」
「どこに?」
「ちょっと、カフェで話しましょう。パートナーについてとか」
そういって、フェデラチアで多少有名な、喫茶クイエディアという所で話をすることになった。
「それで、あなたは何で戦うの?」
「なにって、なんなんよ?」
「あなた、聞いてなかったの?」
シェレンは、ため息をついてレイをにらんだ。レイは何のことだか分からずにさきほど頼んだコーヒーを軽くすすった。
「だから戦うとしたら、何を使うのっていうこと」
あきれたようにシェレンはアイスティーを口に含んだ。
(急に不機嫌になるんな。女って皆こうなんか?)
「ほら、早く教えなさいよ」
「んー」
正直、レイは今までちゃんと戦ったことがなかった。そのような、状況に陥らなかったせいかもしれない。ただ、母親だけは絶対に守るそれだけは心に刻み、今まで生きてきた。
「そっちは、何を使うんよ?」
「えっ・・・」
いきなり切り返されたのに戸惑っていた、シェイカだったが咳払いをひとつして、彼女のかばんから見慣れない弾のようなものを取り出した。
「なんなんよ。それ」
「えっ、これは爆弾よ」
(今、さらりと危ないことを言ったんよ!)
「これは、私のために作られた爆弾・・・」
神妙な面持ちでその爆弾を見つめるシェイカは、どことなく悲しい雰囲気をかもし出していた。
「お前の・・・」
「お前って言わないでって、言ってるでしょう!全く学習能力が低いわね!」
「お・・・、シェイカだってさっき俺のこと、あなたっていってたんよ!」
「なっ・・・」
図星のことを言われたようで、しばらくの間、固まってしまうシェイカだったが。頬を赤らめながらそっぽを向き、
「べ、別に気にしなくていいじゃないそんなこと!」
「どっちなんよ」
「そ、それより、あな・・・レイは何を使うの!」
「怒りながらいうんよ!?」
「いいから!」
「うーん・・・」
しばらく考えた後、彼はついているポケットから、カナヅチを取り出して手のひらでクルクルと回すとシャキーンと効果音が出ているように構えた。
「それって?」
「昔から使ってるカナヅチっていうものだよ」
「へえ、その文章は?」
「これは・・・」
(父さんの・・・)
そういって、つまったレイをシェイカは興味津々のように見つめていたが、レイはカナヅチポケットにしまい。
「何でもないんよ」
「え、ちょっとなんでよ!」
「教えない・・・」
「教えなさいよ。早く!」
「もうちょいしたらなんよ!」
「今、教えてよ。今!」
「あせるな、バカヤロウ!」
「バっ、調子乗らないでよ!あんたのほうがバカじゃない!」
「あ、あの・・・」
「「なに(ん)よ!!」」
「あ、えっともう少しお静かにお願いします。他のお客さまのご迷惑になりますので。わひゃあ!!」
「?」
「どうしたんよ?」
困った表情で、注意しに来たウエイトレスの格好をした女性は、二人の顔を見るなり持っていたお盆で顔を急に隠し始めた。
「あの、えっと・・・」
「ん?あなた・・・」
シェイカは、先ほどの口論などすっかり忘れいてしまったように、じっとそのウエイトレスの顔を見始めた。
「どうしたんよ。シェイカ」
「この子、同じクラスの子よ」
「にゃ!!」
まるで、ネコのような悲鳴を上げて、顔を真っ赤にしてうつむいた。
「確か、相坂 水鶏。ヒューマンだったわね」
「しょこまで!!」
「シェイカ、何でそんなのおぼえてるんよ?」
「私、記憶力はいいの」
自慢するように、胸を張る。その盛り上がりは・・・。ため息をついてしまいそうなほどだった。
「・・・どこ見てんのよ」
「いや・・・別に」
相坂は、その場でうずくまったまま頭から煙をあげていた。
「それで、なんでここで働いてるのかしら?バイト?」
「う、それは・・・」
彼女は、がんばってその小さなお盆でフリフリの洋服を隠そうと必死だ。それをシェイカは蛇のように、楽しそうに問い詰めている。
「あ、あのここ。私の・・・家なんです」
「へー・・・。って、すごいじゃない!」
「はひっ!」
シェイカだけが盛り上がって、相坂のほうはびくびくとおびえているだけだった。レイはそれを見かねて、ため息をつきながら、
「ほら、シェイカ。行くんよ。そろそろ店に迷惑になるんよ」
「え、ちょっと!」
「わるかったんよ。えっと、相坂・・・だっけ?」
「あ、はい・・・」
急に攻撃がやんだので、驚いたのか鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていた。シェイカの服をつかんで、軽々と持ち上げると、机に適当な量のお金をおいて、
「ちょっと何するの!」
「それじゃあ。また学校でなんよ」
と軽く、微笑んで店を出た。その場に残されて呆然としていた相坂は、レイたちが出て行った、出口を見つめていた。
「おい、水鶏。運んでくれ!」
「あ、はーい。っと」
相坂は、レイが机に置いていったお金を集めて、そういえば、名前を聞いてなかったなぁ。と思いながら、数えて、伝票と見比べると、
「あっ・・・」
重大なことに気がついた。
「ちょっと足りない・・・」
遅くなってしまいましたが。炎道です。
感想、ほしいですね。がんばってイコー!。
なんかやる気が空回りです。今後ともよろしくお願いします。




