四・五話:王都アルメニアのおまけ
ここは、アースの中心、王都アルメニア。
ヒューマンの本拠地である。その郊外に小さな宿がひとつあった。
「ようこそ。宿場アルトメルトへ。そこの受付を担当している「九条 昇華と申します。以後おみしりおきを」
とても美人と有名な少女と言うにはちょっとつらいくらいの女の人が
「ちなみに歳は21です」
いや、説明いりませんから。
「ついでに独身です」
あの・・・
「ついでに・・・」
「ただのいきおくれ・・・」
「にゃにおぉ!!」
と、受付の隣で本を読んでいる、毒舌な文学少女は、
「佐伯 レイナ(さいき れいな)・・・」
だそうです。
「ひどいじゃないですかぁ。いきおくれなんて・・・」
「ただの事実・・・」
「にゃっ・・・」
途端に昇華は受付の隅でキノコを量産しながらぶつぶつと何かつぶやいていた。
カランコロン
「お客さん・・・」
「ハァイ・・・」
ため息混じりに返事をして表情に満面の笑みを装備すると、そのお客に向け、
「いらっしゃいま・・・」
目の前に銃が突き付けてあった。
「金を出せ!この袋にいっぱいだ」
絵に書いたような強盗です。犯人は二人。
さっきまでコーヒーを飲んでいた紳士はもうつかまっています。昇華はまたため息をついて
「ねぇ。最近多くないですか?強盗」
と、何事もなかったようにレイナに話かけます。
「今月で何回目ですか?」
「今月は初めて・・・」
全く強盗など気にしてません。レイナは本から目も離しません。
「おいっ!!聞いているのか!金を」
今度はいつの間にか、昇華が強盗にナイフを突き付けていました。
しかも、ただのナイフじゃありません。
普通の人は持っていないようなサバイバルナイフじゃありませんか。
「おっ、お前・・・」
仲間の異変に気がついたのか外を見張っていたもう一人が、昇華に銃を向けました。
「なにやってんだ。てめぇ!!」
すると、スッとレイナも腕を強盗に向けました。その手にはごつい銃が握られていました。
「うるさい・・・気が散る・・・」
本から視線を外しませんでした。
「っ・・・」
強盗二人は生唾を飲み込みました。
「強盗さん。おとなしくつかまった方が身のためですよぉ?」
「死にたいのなら止めない・・・」
強盗達は震え上がり一人は自首。もう一人は、
「つかまってたまるか!」
と捨てゼリフを残して走り去ります。そんなやつを見逃すはずもなく、レイナの銃に電気がはしり引き金を引いたかと思うと、小さな反動で銃口から雷撃が放たれました。その間も、本から視線を離しませんでした。
「なっ・・・ちょっ・・・グギャア!!」
犯人は雷撃から逃げ切れるはずもなく黒焦げになって倒れます。もちろん頭はボンバーしてます。
「終わりましたねぇ。さあ仕事仕事」
犯人をその辺に縛り上げた昇華は、また受付に戻って行きます。
「いらっしゃいませ。宿場アルトメルトにようこそ。ここでのお客様の安全は私どもが保証させていただきます。たとえ、相手が誰であろうとも」
そんな宿が、王都アルメニアのすくそばに立っている。
どうも炎道 緑 です。すこし本編とは離れた話ですが、この後、どのように本編に結びついていくのか。
この場だけの、ネタで終わってしまわないように、がんばります。
九条(以下 九)「ひどいですねぇ。それ」
佐伯(以下 佐)「本当に・・・」
炎「まあ、しゃあないっス」
九「どうにか、してくださいね?じゃないと・・・」
炎「ちょっ、笑顔でナイフを取り出すな!」
佐「どうなるのか・・・」
炎「お前も無表情でやめろ!銃は!」
九・佐「なら頑張って・・・「くださいね?」」
炎「・・・はい」
九「それでは、またお会いしましょう」
佐「じゃあ・・・」
炎「よろしくおねがいします・・・」




