Lvの上がらない勇者なんだがどうすればいいと思う?〜番外編〜
『チキチキ!第1回
料理対決、開催するよーん!』
マイクを片手に
ノリノリで叫ぶ猫神様。
いつの間にか来ていた
謎めいたホール会場。
そして料理器具たちに囲まれるのは
ハーフマオリエ、ヴァン、リア。
「ちょいちょいちょいちょーい!!
待てぇえええ!?何コレ!?」
ちなみに俺はと言うと
まるで拷問器具のような椅子に
座らさせられて身動きすら取れない。
もうわけがわからないよ。
『今回の料理対決のお題は
カレーです!
誰がブレイドくんの胃袋を掴むのか!?』
俺の叫び声を無視して
猫神様は何故か背中から小さな羽根を
生やしてふわふわと空中を舞う。
「俺のこと無視しないで!?
てか俺たち世界救ったんだよね!?
なんでこんなことになってるの!?」
『それでは料理開始!!』
俺のツッコミをかき消すように
猫神様が叫ぶと
3人は同時にキッチンに向かって行く。
もう俺のツッコミは
何処にも届かない、と諦めた俺は
もうどうにでもなれ、と思いながら
3人を見守ることにした。
『おっとリア選手!
なんとも言えない手際の良さで
玉ねぎ、人参、じゃがいもの
3種の神器を切っていく!!
使うお肉は豚肉だー!
これは王道なカレー料理!!』
リアの手際の良い料理に
俺は安心した。
リアの飯は何度か食べたが
どれも美味しかったから
特に心配はないだろう。
問題はハーフマオリエとヴァンだ。
『こちらはヴァン選手……!?
人間界では見たことのない食材
ばかりだあああ!?
これは一体なんなのでしょうか!?』
「うんとねぇ、
隷属の木の実とぉ、
従者の薬草、
それに発情期迎えたばっかりのオーク肉に
媚薬効果抜群のスライム液とぉ」
「お前は何作ってるの!?」
猫神様の司会の声に
ヴァンの方向を見ると
ぶくぶくと黒い釜に入っている
おぞまし過ぎる紫色の液体に
俺は発狂した。
あんなもん絶対食わないぞ。
とか思っていたら
ボカンッ!と爆発音がした。
爆発の方向を見ると
プスプスと焼き焦げた猫神様がいた。
「猫神様ぁああああ!?」
「食材調達はこれでよし」
「ハーフマオリエ何やってんの!?
猫神様食材にしようとしたの!?」
俺は爆発音の正体である
ハーフマオリエにツッコミをすると
猫神様はむくりと起き上がった。
『ハーフマオリエ選手…
わたしは食材ではありませーん』
「ちっ……」
猫神様の言葉にハーフマオリエは
仕方なくキッチンに戻って行った。
ハーフマオリエは猫神様に厳し過ぎるような。
「あ、ぁの、出来ましたっ!」
『1番のりはリア選手!
では試食をお願いします、ブレイト審査員!』
猫神様がそう言うが
今の俺は例によって拷問器具のような椅子に
縛られている為、身動き出来ない。
『あ、リア選手食べさしてあげて』
「は、はい……っ。
えと…ブレイトさん、あーん」
リアの愛らしい仕草に
俺は大人しく口を開けた。
ここが天国か。
「ど、どうですか…??」
「うんまい!相変わらずリアの飯は美味いな!
毎日食っていたい気分だよ」
『高評価!!
ブレイト審査員高評価です!
リア選手の後に続く
ハーフマオリエ選手とヴァン選手は
大丈夫なのでしょうか!?』
もはやノリノリで司会をする
猫神様にリアは頬を赤らめて照れていた。
可愛い。癒される。天使か。
「はいはーい!次はボクのね♡
ブレイトくん♡あ〜ん♡♡」
「いやいやいやいや!
お前の絶対食べたくない!!
何その紫色のカレー!?
見たことないんだけど!?
しかもさっき変な具材入れてただろ!?」
「細かいことは気にしない♡
あんまり細過ぎると
モテないよ♡♡」
ヴァンは俺の腕に豊満な胸を
押し付けるような形で
ぶくぶくと泡立つ紫色のカレーを
スプーンにすくって口に押し当てて来る。
やめろ、死んでも食わねぇぞ!
『ブレイト審査員、
食べる前から拒否しております!
これは審査不可能なのでしょうか!?』
「ちぇっ…、これで折角
ブレイトくんをボクの下僕に
しようと思ってたのに♡」
「お前まじでいい加減にしろよ!?」
ヴァンのいやらしい笑みに
俺が思い切り叫ぶも
ヴァンは反省してないようで
ニヤニヤと笑っていた。
「で、最後はハーフマオリエたんだね♡
なかなか美味しそうじゃない??」
ヴァンがチラリとハーフマオリエを見ると
既に普通に美味そうなカレーを
持って来たハーフマオリエがいた。
「ハーフマオリエ、料理作れたんだな。
燃えるとか言って作らなかっただろ」
俺がそう言うとハーフマオリエは黙って
キッチンを指さした。
俺はハーフマオリエの指さす方向を見ると、
キッチンごと消し炭になっていた。
惨劇過ぎるだろ。
「何が起こったの!?」
「加減間違えちゃって」
「間違え過ぎ!てかカレーどうしたの!?」
「リアの作ったカレー、
魔法で複製したんだよ」
「それ作ってなくない!?」
あっけらかんとした顔でリアの作ったカレーを
パクって来たハーフマオリエに俺は
我慢出来ずにツッコミを入れた。
「まあ、リアの作ったカレーなら食べるけど」
俺は仕方なくハーフマオリエにそう言った。
何故なら俺はハーフマオリエに
あーんして欲しいからだ。
下心しかない。
「そう?ならどうぞ」
ハーフマオリエは俺の下心も知らずに
普通にカレーを俺の口にスプーンで
つっこんだ。
ああん♡今、俺ハーフマオリエに
カレーをあーんされてるうう♡♡
「……ブレイト?」
「ハーフマオリエたんちゅきいいい!!」
「何っ…!?」
「ぶあっはっはっはっはっ!
ふひぃ!お腹痛いよおぉ!!」
「ヴァン!何、したの…っ!」
「ハーフマオリエたんのカレーに
ボクの調合した惚れ薬つっこんどいたんだ♪」
「ヴァンさん何してるんですか…!?
ブレイトさん、わんちゃんみたいに
なってるじゃないですか…!?」
『まさにカオスだね!
これにてチキチキ!第1回料理対決は
リア選手の圧勝ってことで!
また次回もよろしくね!』
ちなみに惚れ薬の効果の切れた俺が
次に目が覚めた場所はベッドの上だった。
身体はボコボコだった。包帯まみれだ。
心は硝子のようにボロボロにされた気がした。




