天子伝:創造の章
大幅に内容を修正します。
昔々のこと。
何もないこの世を寂しく思われた天子様は、光と闇を生み出しました。
光が過ぎると闇が来て、闇が過ぎれば光が来る。こうして、『一日の流れ』を創られた天子様は、次に天と地とを引き裂き、そこへ水を流すことによって、空と海と陸を創りました。
パラダガルドの誕生です。
そこへ、天子様はたくさんの命を解き放ちました。
命は、住む場所によって各々に姿を変えていきました。
水に住むものは魚となり、空を飛ぶものは鳥となり、草木に身を潜めるものは昆虫となり・・・。こうして、パラダガルドには様々な命が芽生えることとなったのです。
その中で、天子様の存在に気付いた生き物たちがいました。
彼らは、自分を生んでくれた天子様へ、毎日のように感謝の念を送り続けました。
そのことを甚く喜んだ天子様は、彼らへ『言葉』を与えました。
言葉を授かった者たちは、これに感激し、
(もっと空高くからならば、より一層に天子様へ感謝の念を送れるに違いない)
そう思い、雲を突き抜けるほどの高さを誇る塔を建てました。
『ベルバ』と名付けたその塔の頂上で、言葉を授かった者たちはまたもや感謝の気持ちを捧げ続けました。
天子様が更に感激したのは言うまでもありません。
天子様は、言葉を授かった者たちへ、今度は『自然の力の欠片』を与えました。これにより、『魔法』と呼ばれる、特別な力を扱えるようになったのです。
しかし、魔法という過ぎたる力を得たことで、彼らはいつしか傲慢になっていき、己だけが世界を支配できるようにと、他の種を滅ぼすため、戦うようになりました。
戦いは何年も続き、その中で、大陸は変化を遂げました。
すなわち、ベルバの塔が建つ聖域の他に、『東の域』、『西の域』、『南の域』、『北の域』という四つの域が出来てしまったのです。
荒れ果てていく世界の様子を見て、嘆き悲しんだ天子様は、地に降り立つと、それぞれの種の一対ずつを残し、残りを光の洪水を以って滅ぼしてしまいました。
天子様は言いました。
「これより先、お前たちが命を増やし、同じようなことをするのであれば、私は今度こそお前たちを滅ぼさなければいけません」
天子様は涙を流しつつ、天へと帰っていきました。
残された者たちは、二度と争いなどしないと誓い、種の繁栄に努めました。
やがて世界には再び命が満ち溢れ、今日のパラダガルドへと繋がっていくのです。