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「赤の人の詩(うた)」・「夜の一時(ひととき)」・「洗濯ボー」・「ごめんなさい」・「は・げ・お・や・じ」
「赤の人の詩」
赤の人は、いつも止められる。
かわいそうに止められる。
時間がたつまで、青になるまで、
決して人をゆるさない。
赤の人。
待たせる人。
何が何でも待たせてしまう。
赤の人にはなりたくないよ。
「夜の一時」
寝入った子供に呼吸を合わせる。
スーハー、スーピー
すぅ はぁ すぅ ぴぃ
ここは一つの小宇宙。
幸せの、幸せの時。
「洗濯ボー」
カンカン照り(でり)でも、雨の時にも、
埃の日にも重さにも、
じっとそこに立っている。
さびさびだらけの洗濯ボー。
嗚呼、洗濯ボー、洗濯ボー。
「ごめんなさい」
じいちゃんは、戦争を語らない。
何が何でも語らない。
いっぱいの苦労。
いっぱいの悲しみ。
そしていっぱいのザンゲ。
こちらこそサンゲ。
こんな時代で。
こんな時代で
こちらこそザンゲ。
「は・げ・お・や・じ」
は 働いて、働いて
げ 限界まで働いて
お 落とし穴にも落っこちて
や やっとここまで行きついた。
じ 自信を持てよ、
ハ・ゲ・オ・ヤ・ジ




