心の量と人嫌い
※真面目に書きました。少し、道徳チックです。
暗い、暗~い宇宙。星々が輝く宇宙の真ん中で……
ポツン、と1人の男の子が漂っていました。
その子は、いつからそこに居たのか?
いつ生まれたのかさえわからないまま、
ただ、漂っています。
そんな日々を送っている少年に、ある日、
声をかけてくる人が現れました。
「やあ、君。こんな所でどうしたんだい?」
その人は、大人の人でした。
少年に優しく話しかけています。
でも、少年は……
「わからない。僕はなんでここに居るんだろう?」
それを聞いた大人の人は、変わらぬ優しさで
少年の言葉に返します。
「それは、〝君が望んだから〟じゃないのかい?
君が、他人を嫌って、自ら独りになった。
君の周りには、人で溢れてるじゃないか!」
その言葉に、少年は首をかしげながら、
(う~ん? どういうことだ?周りに人なんて
居ないのに。)
と、思いました。
「首をかしげるのは何でだい?
君の近くには、親も、先生も、友人だって
居るじゃないか。人が居ないなんて、
そんなのはありえないんだよ。
現に、俺だって居るんだしね。」
大人の人の言葉を聞いて、少年は周りを見ました。
でも、1人も居ません。星があるだけです。
でも、少年には〝親・先生・友人は居る〟
事はわかっています。わかっていても……
少年の目には、そんな人達は見えないのです。
「僕には見えないよ。でも、居るのはわかる。
きっと、この星々の中に居ることは……
今日、話したことも覚えてる。
でも、思いだしたくない。忘れていたいんだ。
その人は〝居ない〟って思っていたいんだ。」
少年の言葉に困惑しつつも、大人の人は言葉を
返します。
「それは…… 何でだい?
人は、人とつながりを持って生きるものだろう。
君は、人とのつながりを、自分から切っている。
なぜ、そんなことをするんだい?」
「怖いから」
少年は、大人の人の質問に、すぐ返しました。
「自分の見た目を悪く言う母が怖い。
自分の見た目が怖い……
自分に期待する先生が怖い。
失敗するのが怖い……
自分が大切に思ってる友人が怖い。
いつか大切に思えなくなるかもしれないから……
僕は、〝自分が傷付くのが怖い〟んだ。」
そんなことを言う少年に、大人の人は、
「わかるよ。みんな、傷つくのは怖い。
でも、傷つきながら…… 〝心をすり減らしながら〟
生きている。何でだと思う?」
その質問に少年は、当たり前のことを言うように……
「心をすり減らして、心を無くしたい。
〝寂しい・悲しい・辛い〟という心が無ければ、
自分が傷ついたことに気付かずに生きれる。」
「違うよ。」
大人の人は、少年の言葉を否定します。
「そんな大層な考えじゃない。いや、
〝考えていない〟んだよ、皆は。
たとえ、自分が傷ついても……
〝心が癒される何か〟があるから。
すり減らしては回復し、またすり減らす。
そうして、人は生きていくんだ。
でも、君は〝その方法がわからない。〟
だから、傷ついたことを自覚し続け、
傷つくことから逃げようとする。そうだろ?」
少年は、静かに頷きました。
「少年よ、無いからと言って焦るんじゃないぞ?
君の周りには、多くの人達が居るんだ。
きっと、君の心を癒してくれる人が現れるさ。」
それだけを言い残し、大人の人は、どこかへ消えました。
少年は、あたりを見回します。
……やっぱり、少年の目には星々しか見えません。
でも、少年は〝待つ〟ことにしました。
いつかきっと、楽しい生活が送れると信じて……
今日も、少年は宇宙の中心で、漂っています……
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