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 混乱。

 

 助けてくれ。

 誰でもいいから、助けてくれ。

 私は再び恵理を呼び出そうとした。


「え……?」


 全身が固まり、身動き一つ出来なかった。

 一体今、何が起きてる。

 

 携帯の中に、恵理はいなかった。

 それどころか、友達として表示されていた者達は一切消えていた。

 指が小刻みに震えはじめた。


 おそるおそる電話帳を開く。


 ない。

 何もない。

 誰一人いない。


 着信履歴、発信履歴も見た。


 ない。

 やはり、ない。


 呼び掛けたはずの恵理の履歴も残っていない。

 

 何かが起きている。

 とんでもない何かが。

 だが、それに抗うだけの気力も気概もまるでなかった。

 今起きている出来事を、まるで脳が理解していない。処理出来ていない。

 

 訳が分からない。

 私はふらふらと、玄関の戸を開けた。


「――」


 とんでもない事が起きている。

 それに間違いはない。

 でも今目の前が起きている事は、間違いであってほしかった。


「まだ、夢なのか。ここは」


 扉を開けた。

 そこにはいろいろなものがある。

 家や、電柱や、道路や、車や。

 それぞれの世界がそこにある。


 あったはずだった。


 夢か現か。


 私の目の前には、知っているはずの世界の代わりに、無限に広がる白しかなかった。


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