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 夢を見た。

 恵理の夢だ。

 まだ付き合って間もない、互いが傍にいる事に最高の幸せを感じていた頃の二人。

 二人の姿を、私は上から第三者の目線で眺めている。


 楽しそうな恵理の笑い声。

 私も楽しげに笑っている。


 しかし、恵理の顔だけがもやがかかったかのようにぼやけていた。

 いくら頑張っても、顔が分からなかった。


 どうして。どうして。


 そして、夢から覚めた。

 私は急いで玄関へと向かった。

 

 そこにあるはずだった。そこにいつでも恵理を確認出来るものがあった。

 結婚してまもなく二人で撮った記念写真。

 恵理と私の幸せを切り取った記憶。


「そんな……」


 膝から体が崩れ落ちた。

 

「どうして……」


 そこに、恵理はいなかった。

 恵理が立っているはずの場所にその姿はなかった。

 しかし、それだけではなかった。


 その写真の中で笑っていたはずの私。



 

 写真には、誰も写っていなかった。


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