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(6)
夢を見た。
恵理の夢だ。
まだ付き合って間もない、互いが傍にいる事に最高の幸せを感じていた頃の二人。
二人の姿を、私は上から第三者の目線で眺めている。
楽しそうな恵理の笑い声。
私も楽しげに笑っている。
しかし、恵理の顔だけがもやがかかったかのようにぼやけていた。
いくら頑張っても、顔が分からなかった。
どうして。どうして。
そして、夢から覚めた。
私は急いで玄関へと向かった。
そこにあるはずだった。そこにいつでも恵理を確認出来るものがあった。
結婚してまもなく二人で撮った記念写真。
恵理と私の幸せを切り取った記憶。
「そんな……」
膝から体が崩れ落ちた。
「どうして……」
そこに、恵理はいなかった。
恵理が立っているはずの場所にその姿はなかった。
しかし、それだけではなかった。
その写真の中で笑っていたはずの私。
写真には、誰も写っていなかった。




