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蛍の涙
「聞いた?」
「あぁ、瀬戸くんが相馬さんのこと好きだったとかって」
「そう!しかも彼氏の律季くんに堂々ライバル宣言!」
「うわぁ、考えただけでもテンション上がるー!」
「って、別にあんた関係ないじゃん!」
「確かに!」
「キャハハ…ッ」
――――聞きたくない話は、だいたい聞こえてくる。
蛍は、トイレの個室に入ったまま、出られなくなった。
女子達がトイレの鏡の前で化粧を直しながら、噂話で盛り上がっている。
『蛍…今までありがと』
――――昨日言われた新太の言葉が耳から離れない。
『好きだったよ』
(せめて、そんな言葉は言われたくなかった…)
―――じわっと涙腺が緩む。
まさか新太の好きな人が、
本当に相馬美琴だとは思わなかった…。
――――女子達の騒ぐ声が、耳につく。
(当事者じゃないから、そんな台詞言えるのよっ)




