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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
93/250

対面する

「え…ーーー?」

そこにいた女性(ひと)を見て、舞子は言葉を失った。


「こんばんは…、美琴さんの“お母さん”…」

困ったように微笑みながら、頭を下げるその女性は…―――。


「貴女が…美琴の…」

(美琴の事務所の社長さん…が?)


「座ろう、舞子…」

真太が舞子の背中をそっと押してレストランの席に着かせる。



「―――美琴に近づいたのは…」

舞子が疑うような口調で言いかけると、

「違います、あの子に逢ったのは…本当に偶然で…」

慌てて美緒が否定する。


「あり得ないだろ、記憶が戻ったのは最近なんだから…」

真太も美緒のフォローをする。



「記憶がなくて…美琴のことをずっと放っておいて…今さらこんな話、舞子さんには不快な思いをさせると思ってます。」


美緒がうつ向きながらポツリポツリ話し出す。


「今まで…美琴を育てて下さって…ありがとうございました」

そう言って美緒は、深々と頭を下げる。


「やめてください、私はまだ美琴を貴女の所に渡すだなんて言ってません」

舞子は、そんな美緒に冷たく言い放った。

「美琴は、私の娘です。血が繋がっていなくても、これからも私の娘です。」


「いえ、瀬戸家の皆さんにこれ以上ご迷惑は掛けられません…」

美緒は、舞子を見据えて静かに…力強く言う。

「美琴の父親は…真太ではありません」



「ええ、真太から聞きました。」

舞子が特に驚くこともなく言う。

「でも、だからと言ってあの子を今さら他人だとは思いませんよ」


「舞子さん…」

(美琴の母親が舞子さんで…本当に良かった)

舞子の言葉は、美緒の胸を熱くした。



「美琴の…実の父親は、日本にはいません」

美緒は、そう言いながら例の雑誌を見せる。


「――――ジョージ・レイ。写真家です。」


「これを撮った人が…美琴の…」

真太が初めて知る真実に、驚きながら呟く。


「でも彼は、…なにも知らないの」

美緒は、寂しく笑って言う。

「―――黙って日本に帰国したから、私。」


(それは、真太の時と同じ。――――あの時…私はまた、居場所を失なった。)



「シングルマザーだったんですね…」

舞子が言う。


「えぇ、でも私は…嬉しかった。…幸せだったんです。」

美緒は、思い出しながら幸せそうに言う。

「美琴が授かって…初めて私は…孤独から解放されたんです…」


(―――美琴がお腹にいると分かって…孤独から私は解放された気がした)


「真太は優しいから、シングルマザーの私に同情して…あの子の父親になってくれました」

舞子の目を見て、美緒は言う。

「でも…本当に愛してたのは貴女だったんですよ、舞子さん」


「美緒?」

美緒の言葉に、新太が戸惑う。


「だから、もう…私たちのことは忘れて…新太くんと真太さんと…幸せになってください。」









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