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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
9/250

真太と舞子

「お帰り真太(しんた)、ちょっと聞いてよ!」


上司との接待から解放され、疲れて帰宅すると、

深夜にも関わらず妻の舞子がハイテンションで出迎えたので、美琴の父、真太は戸惑った。



「ど、どうした舞子?」


「今日知ったんだけどさ、新太に彼女がいるらしいのよ!!」

「へぇ、新太に…」


「リアクション(うす)っ!」

不満げに舞子が言う。


「いやいや、驚いてるよこれでも…」


自分に似たのか、昔から人見知りで無表情な新太に、

美琴(あね)以外に話せる女子がいることすら想像がつかない。


「ホタルちゃんって名前ってことしか分かってないんだけどね――――…」

舞子が嬉しいのか、悲しいのか、興奮しながら話す姿を隣で聞きながら、真太は過去を思い出していた。


最近の新太が自分に似てきたことを思うと、どうしても、もう一人の子供である美琴のことも考えてしまう。


―――最近の美琴は、日を追うごとに実の母親に似てきているということ…。


美琴の姿から、どうしても高校時代の彼女を連想してしまう。


『真太が好き…でもごめん』

離婚をしたいと言いながら…彼女は泣いた。

いつも笑顔で明るい彼女が、初めて見せた…涙。


あのときは…結局彼女の希望を叶えることしか…自分には出来なかった。



「真太、聞いてなかったでしょー?」

舞子の声に真太は我に返る。


「ん?ごめん…ボーッとしてた」


「疲れてるもんね、ごめん…おやすみ」

舞子が気遣って謝ると、寂しそうに寝室に向かう。


「おやすみ、先に寝てて。俺はシャワー浴びてくるから」



舞子の背中を見つめながら、真太は心の中で謝る。


(ごめん…舞子。君にまだ話していないことがあるんだ…)

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