86/250
美緒の恋物語(Ⅰ)
「ねぇ、君…日本人?」
突然、話し掛けられて面喰らったのを覚えてる。
ロサンゼルスに着いたものの、日本とは全く違う世界で…。
そんなの当たり前のことなのに、私は初めての異国に戸惑い、完全に畏縮していた。
「――――そう、だけど…」
話し掛けられたのは、母国語で、
私はアメリカ人に日本語で応える。
「うわ、やっぱり?」
すごく嬉しそうに言う彼は…笑うとすごく幼く見えた。
「なんなの?あなた…」
初対面で…異国の雰囲気にオドオドしていた私は、それを悟られないように必死に強気で言う。
「俺はジョージ・レイ。―――ジョージでいいよ」
陽気に自己紹介をするアメリカ人。
私は当然、警戒した。
「ナンパのつもり?それなら他を当たってよ、私は今忙しいから」
「英語が通じなくて、途方に暮れてるところが、忙しいの?」
ジョージがクスッと笑って言う。
「う、うるさいわね…」
「日本の英語教育…本当役に立たないからね」
言い返す私にも気にすることなく、ジョージは勝手に納得したように言う。
これが…彼との初めての会話だった。




