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美緒の記憶
―――――…それは、真太の父親が亡くなる少し前だった…。
何気なく立ち寄った書店で、
美緒は買いたい本があったわけでもなく、
ふらっと無意識のうちに雑誌コーナーを見ていた。
(―――職業病かしらね…)
心の中で自嘲しながらも、雑誌を眺める。
(あ……綺麗なモデルね…)
何気なく目に留まり手に取った洋書の雑誌。
―――――それが美緒の無くしていた記憶を戻すきっかけになるとは、思いもよらなかった…。
――――それは特に有名でもないマイナーな洋書の雑誌だった。
モデルの名前を知ろうとページをめくっていた美緒は、
カメラマンの名前を見つけて、何となく心の中で唱える。
(“ジョージ・レイ”…)
「あっ!」
――――心臓が止まりかけた。
(ジョージ…!?)
美緒は、驚きのあまり、手から雑誌を落としてしまう。
バサッと派手に音をたてて、雑誌は足元に落ちた。
「思い、出した…」
誰に言う訳でもなく、美緒は思わず口に出していた。
(私の…記憶――――――)
なぜ自分がアメリカに行こうとしていたのか。




