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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
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葬式

「おじいちゃん…相馬直太は…、お父さんと絶縁状態でな」

病室に向かう車の中で、真太は、運転しながら新太に話し出す。


「お祖母ちゃんはお前が生まれる前に亡くなっていて、以来ずっと老人施設暮らしだった」


「どうして?そんな絶縁したの?」

新太は絶縁の理由を父に、問う。


「美琴の母親…つまり前の奥さんとの結婚に反対されて…こっちから縁を切ったんだ…」

「そんな…どうして?」


「まぁ、大人には色々あるんだよ」

「?」

真太は、曖昧に言葉を濁した。


「そんなわけで、美琴には会わせることが出来ないんだ」


「で?どうして俺?」

「どこで知ったのか、俺に息子がいると知って、最期の願いだとか言って看護師さんに頼んできたらしいんだ…」


「ふーん?」

新太はよく分からなかったが、とりあえず初めて会う祖父に何を話せばいいんだろうと悩んでいた。




―――――まさか対面後すぐに、亡くなるとも思わずに…。








葬式は、身内が全く集まることもなく寂しく終わってしまった。



「あれ?社長…?」


突然一度も会ったことのない祖父の葬儀に参列していた美琴は、喪服姿の事務所の社長に気付き、声をかける。


「わざわざ、来てくださったんですか?」

「えぇ、まぁ…」

美琴の問いに、美緒は泣くのを堪えながら言う。

(美琴…あなたは…)



「この度は御愁傷様でした…」

美緒は、美琴の隣にいた真太に他人行儀にそう言うと、

目もあわせずに深々と頭を下げる。

(――――真太…ごめん)

美緒は心の中で謝る。


(私のせいでお父さんと和解できないままで…ごめん)


「わざわざ…すみません」

真太は、美緒が葬式に顔を出したことに、ただ驚いていた。




――――幼馴染みで、小さい頃から顔見知りだった父に、

美緒はよく思われていなかった。


元々両親が居なくて、親戚に身を寄せていた美緒を、

直太は“育ちのよくない子”だと偏見を持っていた。



―――そして再会した子連れの美緒との結婚に反対され、

真太は生まれて初めて、親の言うことに逆らった。



美緒は最初、心を痛めていたが、

―――それも今は記憶を無くしていて覚えていないはず。



なのに、目の前の美緒は、肩を震わせて頭を下げたままだ。



「あの…社長?」

美琴が美緒の異変に声をかけると、美緒は涙を拭いながら微笑んだ。


「ごめんなさいね、私…最近涙もろくて…」


(美緒…?)



線香をあげて、帰っていく美緒を、喪主である真太は動けずに見つめることしかできなかった。


(君は…もしかして…記憶を…――――?)




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