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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
82/250

イベント(2)

『僕を…好きでいてくれるところが好きです』


――――その言葉は蛍を傷付けた。

(それは…つまり“蛍”じゃなくても…いいということ?)


反対に観客席で観ていた女子たちは、

入学してからすぐに蛍と付き合いだして、新太のことを諦めていたが、その言葉に希望を持った。


(もしかして…あのカップルって脆い?)

(私も…もしかしたらチャンスがある?)


女子たちは、熱い視線を新太に向けながらそんなことを考える。



ざわついた観客席に、司会は躊躇いながらも次へと進行する。

「つ、続きまして、エントリーNo.2番の菱川律季くん、どうぞ!」


マイクを渡された律季が、美琴に微笑みかけながら話す。

「俺は彼女の、明るくて素直で…飾らないところが好きです。」


自分に言われた訳でもないのに、観客席からキャーッと歓声が起こる。


美琴は照れながら微笑み返して言う。

「恥ずかしすぎる…ってば」


「だって、本当だから」

律季にさらっと言われて、美琴は更に顔が赤くなるのを感じた。

(なんで律季の言葉は、私をこんなに幸せにするんだろう)




「はぁ、素敵ですねー!」

うっとりしながら司会の先輩が言う。

「では…次に参りましょう!!では…エントリーNo.3番――――…」








――――結局この勝負は、最後に観客席からの拍手の大きさで決まった。


「では、優勝は、エントリーNo.2番、菱川律季くんと相馬美琴さんカップルに決定です!」

司会が興奮ぎみに言いながら、二人を前に立たせる。


「優勝賞品は、旅行券です!おめでとうございます!」


「え、そうなの?」

歓声と拍手の中、美琴が驚いて律季に言うと、

「そうなの」

隣で微笑みながら、律季が応える。

「律季、知ってたんだ?」

「ビラに書いてあったじゃん、見なかったの?」


(律季が出ようって言ったのは…この為だったの?)

美琴は驚きながら、賞品の旅行券を受け取った。





「あぁ、驚いた!」

「まさか、優勝するなんてね」

二人で手を繋ぎながら、校内を歩く。


「驚いたのは、律季にだよ。」

「え?」

美琴の言葉に、律季が立ち止まる。


「私のこと、そんな風に思ってたなんて」

「うん、知らなかった?」

律季に手をぎゅっと握られて、美琴は切なくなりながら笑う。


「ちょっとまだ…信じきれなくて」

(律季のことを、好きなのは本当。…だけど)


「え?」

律季が少し戸惑いながら聞き返す。


「前に言ったでしょ?私…いつか終わるから恋愛はしないんだって」

「あぁ…うん」


「“友達でいれば、別れもない…ずっと好きなままでいられる”って思ってた…」

美琴の言葉を、律季は黙って聞いていた。


「律季に好きだって言われたときも、最初は友達として好きだって思ってたから正直困った。でも逃げようとする私に何度も向き合ってくれたのは…律季が初めてだったの。」


美琴は律季の手を離して、律季の正面に向き直る。

「恋はしないって決めてたのに。気付いたら好きになってて」

(律季のことを信じきれないのに、それなのに…)



「気持ちばっかり大きくなってて…戸惑ってる」

(律季のことが、どうしようもなく好き)



「私…大丈夫なのかな…こんな幸せで良いのかな…」

(――――私は、愛されても良いの?)


そんな切なそうに笑う美琴を、律季はぎゅっと抱き締めた。


「良いんだよ?美琴は何も…不安になる必要ないから」

(律季―――…)


「俺は、ずっと美琴の傍にいる。終わりなんて、ないよ」

耳元で優しく囁かれると、美琴は涙が込み上げてきた。



『終わりなんて、ない』

(―――それは、本当?)


















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