イベント(1)
学祭の日になり、
美琴は律季と校内を歩きながら、楽しんでいた。
「そこの二人、ちょっとこのイベントに出てくれませんか?」
知らない女の先輩に突然そんなことを言われて、
渡されたビラを見ると、
『ベストカップルを探せ!』と題して、校内のベストカップルを決めるというものだった。
「え、めんどくさいから嫌です」
美琴がすぐに断る。
「そんなこと言わずに…」
困ったように先輩が言う。
「…良いですよ」
じっと黙ってビラを見ていた律季が、いきなり承諾する。
「ちょっと律季」
「やろうよ、楽しそうだし」
美琴が止めようとすると、律季が笑顔で言う。
「それに美琴のこと、いかに好きか伝えれる良い機会だから」
「えっ」
美琴の顔がかぁーっと赤くなる。
「あ、じゃあエントリーしてくれます?まずこちらの用紙にクラスと名前と―――…」
説明する先輩に、律季がさらさらと記入していく。
『美琴のこと、いかに好きか伝えれる良い機会だから』
美琴は赤面しながら、律季に言われた言葉を何度も頭のなかでリピートしていた。
「はい、それでははぐみ祭一大イベント、ベストカップルを探せ!始めたいと思いますー!」
司会はさっきの女の先輩だった。
「エントリーNo.1番は、一年2組瀬戸新太くんと一年1組の七種蛍さん」
新太と蛍がステージに上がるのを、美琴は驚きながら観ていた。
(新太が…人前に出るなんて…)
蛍と並んで立つ新太は、弟とは思えないほど格好良く見えた。
「エントリーNo.2番は、一年3組の菱川律季くんと相馬美琴さん」
名前を呼ばれて、律季に手を引かれながらステージに上がると、律季と新太に挟まれるようにして、美琴は並んで立つ。
「エントリーNo.3は、二年………――――――」
「――――――はい、それでは彼氏から彼女に、好きなところを告白して貰いましょう、お互い向き合ってどうぞ~」
司会に言われて、新太が蛍と向かい合うとマイクを渡される。
新太は…蛍に言われてイベントに参加することにした。
でも内容を確認していなかった為に、
それが「ベストカップルを探せ!」というものだと、つい先程知ったばかりだった。
(蛍の…好きなところ…)
頭の中が、緊張で真っ白になりながら、新太は一生懸命何か言わなければと考える。
(好きなところ―――――…?)
「僕を…好きでいてくれるところが好きです」
(こんな…最低な俺の側に、蛍はまだ居てくれるから――――…)




