表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
76/250

雫と新太

「え、木下(きのした)じゃん」

家に帰ってきて靴を脱いでいるところに、

二階から降りてきた美琴と雫に気がついて新太は言う。


「…久しぶりだね、新太」

雫が困ったように微笑んで、言葉を交わす。


「ちょっと新太、雫を家まで送ってあげてよ」

美琴が新太に言うと、新太が美琴を見ずに言う。

「は?…俺、今帰ってきたとこなんだけど?」


「美琴、私は大丈夫だから」

新太が不機嫌そうに言うのを見て、雫が遠慮する。


「いやいやダメだよ!女の子一人で、夜道歩かせるなんて…」

美琴が雫に言っても、雫は素早く靴を履いて玄関のドアを開ける。

「じゃあまたね、美琴!」


「あ…雫…」

美琴が引き留めようと声をかけるのと、玄関の扉が閉じるのは同時だった。


新太は、美琴の表情をチラッと見て、ため息をつくと家を飛び出した。

(なんで…俺は…)


「木下…っ」

前を歩いていた雫に追い付いて、新太は並んで歩く。

「新太…どしたの?」

隣を歩き出した新太にドキドキしながら雫が聞く。

(まさか、来てくれるなんて…)


「送ってく、家の近くまで」

「え、…良いよ」

照れながら手を振る雫に、新太が言う。


「良くない、美琴が心配するから」

(美琴のあの表情(かお)…マジで反則だ…)

美琴が寂しそうにうつ向いている横顔を思い出しながら、新太は言う。


「あ、そっか…」

雫は、新太が追いかけてきてくれたのは、

(じぶん)”ではなく“美琴(あね)”の為だったことに胸が苦しくなりながらも納得する。


「なんで笑ってんの?」

新太が雫がクスッと笑ったのを見て、怪訝な顔をして尋ねる。


「新太…変わってないなーと思って」

前を向いて雫が言う。

「何より“美琴”優先するところ」


「――――てか、なんでまた美琴と“友達”なってるの?」

新太が雫を見ながら質問する。

「美琴、高校に入ってから女友達作ってないんだけど?」



「うん、聞いた…」

雫は責められるのは仕方がないと思った。

自分のせいだと…雫も思った。


でも…それを好きな人に言われるのが、こんなにキツイなんて思っていなかった。


「今度、美琴を裏切るようなことしたら俺許さないから」

涙を溜めてグッと泣くのを我慢している雫の隣で、

新太は容赦なく低い声で言った。


(変わってないのは…私も一緒だ…)

雫は瞼を擦りながら、自分を嘲笑うように笑う。


「裏切らないよ、大丈夫…」

(こうしてまた、新太の近くにいたいから…)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ