独占力
美琴は、隣を歩いている律季が気になっていた。
今日、体育の帰りにバッタリ会ったときもそうだったが、
律季の様子がいつもと違う。
「一緒に帰ろう?」
珍しく律季に誘われて一緒に帰っているのに、
律季は何かを考え込んでいるようにも見えた。
(そう言えば、新太が律季のこと避けてるって…こないだ悩んでたよね…)
「あのあと、あ…瀬戸くんと仲直りした?」
美琴は気を利かせて、尋ねる。
すると、律季が足を止めて美琴の方を向く。
「いや…、余計こじれた…」
律季が真顔で答える。
「え、なんで?」
「何でかな…俺が美琴のこと好きなのが、気にくわないみたい」
(こじれたのは…新太があんな爆弾を投げ込んできたからだけど)
律季は心の中でため息をつく。
久しぶりに“好き”と言われ、そんな律季に気付くこともなく、美琴は顔が火照ってうつ向く。
「美琴は…俺のこと好き?」
律季に突然ストレートに聞かれて、美琴は動揺する。
「さぁ…どうだろう…」
(ちょっと…急にそんな話しないでよ…っ)
「以前なら、“友達として好きだよ”って言ってくれたのに…」
美琴の腰に片腕を回して、律季が美琴に顔を近付ける。
(わ…ちょっと…どうしよう…)
それどころじゃなくて…混乱したまま美琴はぎゅっと目を瞑る。
「美琴は、俺のこと好きだよね?」
腰に回していた腕を離すと、律季は美琴の頬に手をかけた。
恐る恐る目を開けると、律季は美琴を見つめて言う。
「好きだよって…言わないの?」
催促するように、律季に見つめられ、赤面した美琴は言う。
「好き…だよ」
言い終わるか終わらないかのうちに、美琴は律季に唇を奪われた――――。




