バレそうな距離
「おはよ…」
「おはよ、って新太…今起きたの?早く仕度しないと遅刻するよ?」
朝起きてリビングに行くと、家を出るところの美琴にそう言われる。
「え…」
時計はすでに7時を過ぎていた。
家から南青高校までは電車とバスで一時間弱かかる。
「なんで起こしてくれないんだよ!」
一気に眠気が覚めて、新太は慌てて仕度をすると、
朝ごはんも食べずに家を出る。
「お、よく間に合ったね」
駅に着くと、ちょうど来た電車に駆け込み乗車する。
その車両にいた美琴が涼しい顔をして新太にこそっと言う。
「昨日のデートで盛り上がりすぎて眠れなかったの?」
美琴がニヤニヤしながらからかうように言う。
「美琴に関係ない…」
新太は美琴から顔を背けてボソッと言う。
「新太、寝癖ついてる…」
美琴がクスッと笑いながら背伸びをして新太の髪をそっと撫でる。
「あ、駄目だ…直らないわ」
その時ちょうど電車が揺れて、体勢を崩した美琴が後ろによろける。
「危な…」
慌てて腰に腕を回して、新太が美琴を支える。
「ありがと、新太」
美琴が微笑むと、
「気を付けてよ」
新太がそっぽを向いて言う。
そんな二人を…隣の車両にいた蛍は、見てしまった。
(新太と…相馬さん…)
自分の知らないうちに、
二人があんなに仲良くなっていたことを知ってしまい、
蛍は衝撃と嫉妬で胸が張り裂けそうだった。
(なんで…いつから?―――二人の接点と言ったら…律季だわ…)




