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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
62/250

新太と蛍の関係

「新太、見て!シロクマー!」

蛍が子供みたいにはしゃぐのを、新太はホッとしながら眺める。


「ねぇ、新太も一緒に写真とろーよ」

蛍が自撮り棒でスマホを構える。

パシャッ。


二人の笑顔を、写メが記憶する。




「―――新太、今日は楽しかった!ありがとね」

蛍は満面の笑みで新太に言う。


「うん…」

新太は浮かない顔で微笑む。


「また行こうね、今度は水族館も良いなー…」

そんな新太に気づかないふりをして、蛍は明るくふるまう。


「蛍…聞いてほしい話があるんだけど…ちょっといい?」

改まって話し出す新太に…蛍の顔から笑顔が消えた。


二人は近くの駅の噴水の前に座る。



「俺さ、ずっと好きな人がいたんだ。」

新太はうつ向いたまま、ポツリと話し出す。

「その人はいつも一緒にいて…俺のことをすごく大事に想ってくれてて…」


蛍は、初めて新太が過去の話をし出して戸惑っていた。

「だけど…異性としては見てもらえなかった…」


「何それ…」

蛍は黙って聞いているつもりだったのに、思わず口を出してしまった。

そんな蛍に、新太は寂しそうに微笑んで続ける。


「俺は告白なんて出来ないし、しても無駄だって分かってたからーーー結局高校に入っても、何も変わらなくて…」

(――――変わったのは…美琴で…。苗字も…俺との関係も…変えていったのは…全部美琴だけで…。)


「俺は…そんな気持ちを誤魔化すために、蛍と付き合いだした」

頭を下げて、新太は言う。

「ごめんなさい…っ」


蛍は、新太が抱えていた過去を知って…むしろスッキリしていた。


「ずっと…、蛍のこと好きでもないのにどうして付き合ってくれたのかなって思ってた」

蛍は頭を下げたままの新太に話し掛ける。


「蛍もね…、律季にフラれて…見返したくて新太に近づいたの。」

新太はゆっくりと頭をあげる。

蛍は、寂しそうに微笑みながら言った。

「だから…おあいこでしょ?」


「蛍…」


「ねぇ新太はそれで…蛍にどうして欲しいの?」

蛍は、新太の頬に手を添えて目を見つめて尋ねる。


「その人に、告白はしないんでしょ?」

蛍に言われて、新太は目をそらす。

(告白なんて…出来るはずない…だって美琴は―――)


「どっちでも良いよ?」

蛍は、そう言いながら新太にそっと唇を寄せていく。

「別れてもいいし。…このまま付き合っても。蛍は、どっちでもいいよ?」


(美琴が好きなのは律季で……美琴の隣に俺の居場所はもう…どこにもないんだ…)


新太は蛍の唇を自分から近づけて…キスをした。



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