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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
61/250

日曜の朝

『私も…新太が好きだよ?』


(美琴が言う“好き”は…俺の心には全く響かない)


――――満たされない理由は分かっている。

自分の欲している言葉なのに、自分の欲している気持ちは入っていないからだ。


昨日は色々ありすぎて、新太は一睡も出来なかった。

気づけば真っ暗にしていた部屋が明るくなってきているのがカーテン越しに分かる。


(仕度…しないとーーー)


新太はフラッとリビングに向かう。


「おはよう、新太」

早朝なのに舞子が起きていて挨拶する。

「おはよ…」

目をそらして、新太は言う。

(母さんが…実は父さんと再婚前に付き合っていたなんてーーー)


そんな大事なことを教えてもらえていなかったなんて、

新太は母親に不信感すら感じていた。



「いつも遅いのに、今日は早いのね」

舞子がからかうように言うと、新太はいらっとして水を飲むとまた部屋へと戻ろうとする。


「新太、待って…まだ怒ってるの?」


「別に」

(怒ってなんかいない…。母さんに怒るのは間違ってる。だって悪いのは…姉を好きになってしまった自分なんだからーーー…)

階段を上りながら、新太は向けるところのない怒りを抑え込む。








美琴が朝起きると、新太はすでに出掛けていて居なかった。


美琴は、モデルの仕事に向かう準備をする。


(新太…もう大丈夫なのかな?)

新太の心配をしながら、美琴は家を出る。

「行ってきまーす」


美琴が電車に乗るために最寄りの駅に向かうと、

そこにはかつての親友がいた。


「雫…」


美琴は無意識に名前を声に出していた。


雫は、そんな声に気がついて顔をあげ…目を見開く。

「美琴…」




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