真太の恋物語(2)
――――美緒は、音信不通だった期間の話を一切しなかった。
「ごめん…君とはもう付き合えない」
美緒と再会して、自然と美緒と会う回数が増えた俺は、
結婚を意識して二年付き合っていた彼女に、別れを告げた。
「どうして?私のこと…嫌いになったの?」
「―――そうじゃないけど…ごめん…」
泣きながら言う彼女に、俺は謝ることしか出来なかった。
美緒は、俺の初恋で憧れで…ずっと特別だった。
そんな彼女が目の前に現れて…俺の想いは引き込まれるように美緒に向いていた。
「美緒、俺と結婚しよう?」
再会して数ヵ月後、俺は彼女にプロポーズした。
「真太が?私と?」
美緒は、最初のプロポーズの時、そう言って笑い飛ばした。
それから数ヵ月…俺は何度もプロポーズした。
守りたかったんだ…美緒とーーー小さな命を、俺の側で。
出逢った頃、首も据わっていなかった赤ん坊は、
気づけば一歳になり、よく笑い、声を出すようになり、立ち、歩くようになっていった。
美琴は、俺によくなついていた。
「美琴、パパだよー」
俺は美琴に会う度にそう話し掛けていた。
「…パ、パ」
美琴は可愛い笑顔で、俺をそう呼んだ。
「真太、本当に良いの?」
それを見ていた美緒は、真顔で俺に言った。
「何がそんなに引っ掛かるの?」
「だって私は…真太とあんな別れ方をして…」
美緒の言葉に、高校二年の冬から一年間付き合ったことを思い出す。
幼い頃からずっと好きだった彼女に、交際を申し込んだのは、美緒が彼氏と別れて弱っていた時だった。
美緒は、美人でカリスマ性があってモテたし、
そんな彼女と付き合えただけでも、俺は幸せだった。
でも美緒は、高校を卒業する前に俺に別れを告げた。
そして地元を離れて、どこかへ行ってしまったのだ。
携帯電話も繋がらず、元々両親の居なかった美緒は連絡のつけようがなかった。
「―――美緒は、美緒らしく居てくれたらいいよ」
(美緒は、俺と別れたことを気にしてくれてたのか…。)
俺は…それだけで、嬉しかった。
(過去のことは言いたくないなら、聞かない)
「真太…」
「美琴と美緒は、俺が守るから」
(だから…どこにも行かないでくれ…)
――――美緒と再会してから一年後、俺達は“家族”になった。
別れた彼女のお腹には、新太がいたことも知らずに………。




