6/250
美琴
「相馬さん、これ…」
斗亜とお喋りをしていた美琴は、
珍しくクラスの女子から声をかけられる。
「あれ?私の教科書?ーーーありがとう」
美琴は、女子二人にお礼を言う。
「それ、隣のクラスの瀬戸くんが拾ってくれたみたいよ?」
「お礼なら瀬戸くんに言ったら?」
二人は無表情でそう言うと、行ってしまった。
「瀬戸くん…って新太のことか?」
隣で聞いていた斗亜が美琴に聞く。
「新太…」
美琴は斗亜の声が届いていなかったのか、
無意識のうちに声に出していた。
「美琴、新太と知り合いなの?」
斗亜がそんな様子の美琴に尋ねる。
「――――ううん、知らない」
美琴は教科書を見つめながら、答える。
「でも、編入生同士だよな?」
「編入生って、私と瀬戸くんだけじゃないじゃん」
「あぁ、まぁ…あと5人は居たかな?」
「私、自分以外の編入生知らないもん」
美琴は、いつもの笑顔で言うと席を立つ。
「美琴?どこ行くんだよ、授業始まるぞ?」
「斗亜、私サボる!!」
「はぁ?」
美琴の発言はいつも唐突で、
見た目はチャラい割に真面目な斗亜は面食らう。
「また後でね」
笑顔で手を振ると、美琴は教室から居なくなった。
美琴はいつだって自由で、その言動に斗亜は密かに憧れていた。
(いつも何考えてるのか分からなくて、目が離せなくて…もっと知りたくて…。美琴を手に入れたい)




