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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
55/250

叶わない想い

『じゃあ…どうして新太に…本当の父親だと名乗ってくれないの?』


―――頭の中をさっきから同じ台詞がグルグルと回っていた。


スマホを忘れて取りに戻った新太は、リビングから聞こえてきた両親の話を聞いてしまった。


(嘘だ…)


新太は聞いてしまったあと、静かに玄関を出た。


(嘘だ…嘘だ…)


紛らすように早足で歩いていると、

次第に目の前の道路がぼやけて見え、涙が溢れてきて止まらなくなる。


(俺は、父さんの子供で…美琴と異母姉弟だったなんて…)



二人が再婚したのは新太がまだ二歳の時で…、正直何も覚えていなかった。


気づいたら、自分には“お姉ちゃん”がいて、

気づいたら同じ学年でいつも一緒で…、

気づいたら“お姉ちゃん”が大好きで…、

でも中学を卒業してお互い連れ子だと知ってからは、美琴のことを“異性”として好きだと気づいてしまった。


同じ屋根の下で…、

美琴を“異性”として意識していることを家族に悟られないように付き合いだした彼女(ほたる)のことも、

真実を知ってしまった今では、馬鹿馬鹿しくて笑えてくる。


(最初から…(いだ)いてはいけない気持ちだったのに…)


溢れる涙は、何度ぬぐっても止まらなかった。

(―――俺は、一人で何してるんだろうな…)


思わずしゃがみこんで、新太は嗚咽を漏らす。


(こんなに…好きで堪らないのにーーー美琴…)







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