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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
45/250

好きな人

「雨じゃん…」

「だな…」

約束の週末、

降りやまない雨を、斗亜に言われて律季もファミレスの窓から眺める。


「あーぁ、海行きたかったのになぁ」

律季が残念そうにため息をつく。


「まぁいいじゃん。三人でこうして集まれたんだし」

美琴は一人、嬉しそうにパフェを食べる。


そんな美琴を見たら、斗亜も律季も、まぁいいかと思えた。



「また今度行こ!まだまだ暑いし、海行けるでしょ」

美琴が笑顔で言うと、

「そうだな」

律季も嬉しそうに頷いた。



「そういえば、モデルデビューするんだって?」

律季が、美琴に尋ねる。


「うん。悩んでたんだけど、やってみようかなって」

美琴は照れたように答える。

「明日、撮影があるんだ」



「へぇ、頑張ってよ!応援してる」

「ありがと」

律季と美琴の会話を黙って聞いていた斗亜は我慢できなくなり席を立つ。


「ちょっとトイレ…」

「いってら」

律季は斗亜に笑いながら言う。



急に二人きりになると、美琴の表情が固まった。

「美琴?どしたの?」

律季が不思議そうに聞く。


「ううん、別に」

美琴は、必死でパフェをパクパク食べ始める。


「ねぇ、クリームついてる」

クスクス笑いながら、律季が言う。


「え、どこ?」

美琴が紙ナフキンで拭こうとするより早く、

律季は美琴の口元に指を滑らせる。


「ほら、取れ…」

律季は指についたクリームを美琴に見せようとして、

驚きのあまり、言葉が出てこなくなった。


美琴は両手で顔を覆っていたが、

耳まで真っ赤にしているのがすぐに分かった。

(先輩が、変なこと言うから…)


『居るんでしょ?好きな人…』

あの問いに、美琴が無意識に思い浮かべたのは…律季だった。


(私は、律季のこと好きだけど…それは友達としてだし)

誰に言い訳しているのか、美琴は心の中で唱える。


「見ないでよ…」

指の隙間から律季を覗き、美琴は怒ったように言う。


(ただ、律季が私のこと異性として好きとか言うから…変に意識してるだけで…私は別に好きとかじゃないし)


「やっぱ可愛い…」

ふわりと微笑んで言う律季に、美琴の心臓がトクンと音を立てた。


『恋は…しようとして出来るものでもないし、したくなくても気付いたらもうおちてるものだから』


――――十河先輩の言葉が次々頭の中で思い出される。


(恋なんてしたら、めんどくさいに決まってる…)




『ちゃんと向き合ってみたら?』


(無理。私は…律季を信じられない…)




「あーやばかった、漏らすとこだったー…って、あれ?」

斗亜がスッキリした顔でトイレから戻ってきた。


向かい合わせに座っている二人、

赤面している美琴と楽しそうな律季がただならぬ空気になっている。



「―――おい、お前何した?」

斗亜は咄嗟に律季を責める。


「え、俺?クリームついてたからとってあげただけ」

悪びれずに律季に言われて、斗亜はなにも言えなくなる。


(それで、この表情(かお)かよ…)

斗亜は複雑な気持ちで、美琴を見つめた。


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