デートのお誘い
「今週末、デートしない?」
翌朝、律季が美琴と斗亜のクラスにやってきて言った。
「おい、律季…」
斗亜が、美琴を隠すように前に立ちはだかる。
クラスの女子達が一斉に美琴達に注目する。
「しないっ」
斗亜の背中に隠れながら、美琴は言う。
「海行こ?こないだみたいに。こないだ楽しかったよなー」
そんな二人にも動じず、律季は夏休みの初日を思い出しながら言う。
「―――…」
美琴も、あの日を思い出すと少しだけ…行きたくなる。
「夕方は打ち上げ花火やろーよ」
畳み掛けるように、律季が言う。
「――――斗亜が行くなら行く」
美琴は、斗亜の背中のシャツを掴むと、言う。
「それじゃ、デートじゃないじゃん」
「――――…」
律季のことばに、美琴は黙り込む。
「前は二人で行ったのになー」
「あの時は、友達だったからだよ」
律季がため息混じりに言うと、美琴も言い返す。
「一緒じゃん」
律季が斗亜を退けながら、美琴との距離を詰める。
「美琴は今も俺を友達としか見てないし、あの時だってもう俺は美琴のこと好きだったよ?」
律季が言うと、美琴は言葉を失なう。
「もう、許可なくキスとか手は出さないから…頼むから」
律季に言われて、美琴も何か言おうとすると、
「美琴が行くなら俺も行く!」
代わりに斗亜が律季に言う。
「いや、斗亜は来なくていいんだけど」
「三人で行こ」
律季が斗亜に言うのと、美琴が律季に言うのが同時だった。
「「え…」」
斗亜と律季の二人が同時に驚いて、美琴を見る。
「行きたい、海!やろ、打ち上げ花火!」
――――そこには、ふっ切れたように明るい、いつもどおりの美琴がいた。




