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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
34/250

二人の出会い

「――以上が、今年編入してきた七名です。皆さん、くれぐれも―――――」


高校生活の初日、講堂に集まって壇上に並ぶ編入生を一年の学年主任の教師が紹介する。

その教師の声が聞こえて来ないほど、新太を見た瞬間から蛍は夢中で彼を見つめていた。



(見つけた…)

最初に新太の姿を見たとき、蛍はそう思った。


(瀬戸新太(かれ)なら、律季にも劣らない“彼氏”になる。)


中学卒業後、あっさりフラれた蛍は悲しみを紛らわせる方法を探していた。


(見返してやる…っ、律季なんて…)




「ちょっとやばくない?編入してきた瀬戸くんっ。かなりかっこいいよね!!」

「だよね、私も思った!」

「彼女とかいるのかな?」

「隣のクラスじゃあ、話しかけづらいよね…」


講堂から教室に戻る時、同じクラスの女子たちがさっそく編入生を評価する。

その会話を聞きながら、蛍はますます気持ちを強くした。


(みんなが羨むような“彼氏”を、絶対ゲットするわ!!)




それからすぐに、新太に告白した。

「新太くん、蛍と付き合ってくださいっ!」


「え…」

新太は赤面して、顔に手を当てる。


「とりあえず、―――君は誰?」

「あ、1組の七種蛍。」

(やば…がっつき過ぎて名乗るのも忘れてたわ…)


「蛍…?可愛い名前だね」

「あ、ありがと…」

予想外の反応に、蛍が照れながらお礼を言う。


(あれ…?私、ときめいてる…?)


「いいよ、付き合う。」

新太はその場で、承諾した。

「え…」

「よろしくね、蛍…」

驚いている蛍に、新太は微笑んで言った。



(最初にちゃんと見てなかったのは…私も同じだった)


最初はただ、“律季への当て付け”だったはずなのに、

新太を知れば知るほど、新太の気持ちは全く自分に向いていないことを痛感した。


―――何とかして“ちゃんと”手に入れたい。

そうしないと(ニセモノ)だって律季にはバレるから。




『そんなだから、振り向いてもらえねーんじゃね?』

(律季に言われなくても分かってる…)



振り向いて欲しい…そんな対象は“律季”から“新太”に変わっていった。

だけどそれは、そうやって新太に依存しないと律季を忘れられないから。

そう思っていた…。


『俺、蛍のこと大事にするから…』

あの日までは…――――。

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