表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
28/250

溺れる

「浮き輪、ないと泳げないの?」

新太がからかうように蛍に言う。


「う、浮き輪で浮いていたい気分だったのっ」

蛍が必死に言い訳をする。


「蛍かわいい…」

新太がそんな蛍を微笑ましく見つめると、

蛍の頬が赤く染まった。



「うわ、バカップルはっけーん」

斗亜がエアーマットの上に美琴を乗せて、

バシャバシャ水しぶきをたてながら二人の隣にやって来た。


「斗亜、もっとあっち行こうよ」

美琴が二人を避けるように言う。


「オッケー」

斗亜は、美琴を乗せたまま、ばた足でエアーマットを運ぶ。



新太は、離れていく斗亜と美琴を何気なく見送り、

足をばたつかせて美琴たちとは反対方向へ蛍の浮き輪を動かす。


(あ、やべ…足吊った…)


ちょうど高い波が来て、蛍の浮き輪から手が離れてしまった新太はあわてる。


(うわ…ヤバイ…)



「新太っ!?」

蛍の悲鳴に近い声が聞こえたが、返事もできずに波にのまれる。



バシャッ!


美琴がすぐにエアーマットから飛び込むと、

あっという間に新太のいるところまで泳ぎ、新太を蛍の浮き輪に手をかけさせようとする。


「しっかりしてっ、新太っ!」

浮き輪で身動きがとれずに、蛍は動揺しながら叫ぶ。


「美琴、あとは俺がっ」

美琴にやっと追い付いた斗亜が、溺れていた新太の肩に腕を回し、エアーマットの上に乗せる。


「新太、大丈夫かっ?」


一人火の番をしていた律季も、騒ぎに気付き、急いで海のなかに入って手伝う。



律季と斗亜が、必死に新太を砂浜まで運ぶ。


「ゴホッゴホッ」

大量に水を飲んだ新太が咳き込む。



「新太…っ」

やっと砂浜までたどり着いた蛍が、新太に駆け寄る。


「ごめ、…油断した…」

浜辺に横たわる新太に、蛍が涙目で抱き付く。

そんな蛍の背中に、新太はそっと腕を回す。


美琴はそんな二人から離れて、斗亜と律季のいるところまで歩く。

なぜか、幼い頃に読んだ絵本の“人魚姫”の物語が浮かぶ。


『助けたのは…私なのにーーー』



「びびったわ…マジで…」

「ほんとに…心配かけやがって…」

斗亜と律季が、蛍と新太を遠くから眺めながら息をつく。


「美琴、泳ぐの早いんだ…な」

斗亜がそう言いながら美琴の顔を見ると、言葉を失なった。


(美琴………)


美琴は今にも泣き出しそうな、切ない横顔をしていた。

(新太…、やっぱりこんなの辛いよ…だから接点持ちたくなかったのにーーー)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ