卒業
「そろそろ、行くね」
卒業式が終わり、
クラスメイト達が皆、卒業を惜しんでいる教室で、
美琴が笑顔で言う。
「美琴っ」
ちょうど斗亜が特進クラスの教室に駆け込んできた。
「斗亜…」
「お前、アメリカ行くんだって?ひでぇじゃん、俺だけ何にも言わねーとか…」
斗亜が拗ねたように言う。
「ごめんごめん!!長期連休には帰ってきたりするからさ!遊ぼうね」
美琴はそんな斗亜に、笑いながら言うと、
「―――――迎え待ってるから行くよ」
と、律季と新太の方を向き直って言った。
「頑張って」
「うん、ありがと」
律季が笑顔で言い、美琴も笑顔で言う。
「じゃあ…行ってくるね」
美琴は、新太に手を振って言うと、教室を走って出ていった。
「…――」
新太は言葉をかけることが出来なかった。
「律季が先に言っちゃうから…」
新太が校門を出ていく美琴を見つめながら、律季に愚痴る。
「あぁ、“頑張って”って?」
律季がからかうように笑いながら言う。
「新太~、マジ最後の最後まで女々しいなー。他人のせいにするとは…」
斗亜も、新太の肩にポンと手を置いて言う。
「え、てかそれなんだよ…」
斗亜が新太の左手に光る指輪を見て、思わず声をあげる。
「婚約指輪」
新太が指輪を愛おしく見つめながら、微笑んで答えた。




