あと一週間
「新太…っ」
朝、学校まで向かうのに、美琴はいつものように新太の隣を歩いていた。
そのはずなのに、最近の新太の歩く速度と歩幅ではいつの間にか置いてかれてしまう。
無言で先を行ってしまう新太に、美琴は、途中から追いかけるのを諦めとぼとぼと一人で歩き出す。
(―――――今日も新太に避けられた…)
卒業式まであと一週間。
卒業式は、新太の18歳の誕生日だった。
「美琴?」
学校の近くまで来ると、律季が後ろから走ってきた。
「おはよ、って…暗っ」
美琴の表情を見るなり、律季が突っ込む。
そして、苦笑いで言う。
「また新太に逃げられたの?」
「―――うん…」
美琴は、落ち込んだまま頷く。
「新太、せっかく一大学合格したのになー」
律季が言う。
「まぁ…その大学に、美琴は行かないってことがショックだったんだろうけど」
美琴の心がズキッと胸が痛んだ。
「新太、マジ女々しいからなー」
律季が笑って言う。
「美琴がいないと生きていけない感じ」
「何それ…」
美琴が律季を軽く睨む。
「だからさ、本当は美琴と一緒に居たいんだって」
律季が優しく微笑んで言う。
「早く、仲直りしろよ!時間の無駄だから」
「分かってるよ…」
美琴は、心の中で呟いた。




