表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はかる気持ち  作者: 夢呂
【第四章】
245/250

信じられない話

「アメ、リカ…?」


新太は唖然としていて、出てきた言葉はそれだけだった。




「―――ママが、実は再婚することになって…」


新太の反応は想定内だったが、実際目の当たりにするとやはりつらかった。


「その相手の人がね、なんと私の実の父親なんだよね…」


美琴はそう言っておどけるように笑う。

でも、新太には笑えない話だった。


「家族でアメリカに住むことになって、それで私、アメリカの大学に進学することに決めたの」


しばらく沈黙が流れる。


「―――――じゃあずっと、俺のこと騙してたの?」

新太が、目の前のコーヒーカップを見つめたまま、尋ねる。


(違う。本当は分かっている…美琴が俺に言わなかったのはー―――)


心の中ではそう思っているはずなのに、

“裏切られた”という思いがどうしても口を()いて出てしまう。



「俺が必死で自分の偏差値に見合わない、無謀な大学目指して頑張ってたのは、美琴と同じ大学に行きたかったからなのにっ」


(八つ当たりだ、こんなのーーー。でも…)



「ごめん…新太。」

美琴が、頭を下げて謝る。


そして、美琴はゆっくり顔を上げる。


口許に笑みを浮かべて、目には涙を浮かべて。


「高校卒業したら、結婚しようって言ってくれて私…嬉しかった」



新太は、その先を聞く勇気がなかった。


「――――もういい…聞きたくない」


それだけ言うと、財布からお札を出しながらガタッと席を立ち、店から走って出ていく。


「新太っ」

美琴の声が、店内に虚しく響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ