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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第四章】
240/250

放課後デート

「なんか、律季とこうやって帰るの久しぶりだね」


美琴が笑って言う。


「そうだなー、去年は美琴に会ってなかったしな」


隣を歩きながら、律季が一年前を思い出して答える。



二人は、街を目的もなくブラついてから、

フラッとファミレスに入った。



「律季、受験勉強…順調?」

水の入ったグラスを手にしながら、美琴が聞く。



「うん、まぁね」

律季が余裕そうに、微笑んで答える。


「で…?どうしたの、今日は」



「ん?」

律季が頬杖をつきながら、正面に座る美琴を見つめる。



「――――美琴、」


「何?」

美琴は律季に名前を呼ばれて返事をする。


すると、律季は深く息を吸い、話し出した。


「美琴の良いところは、周りに合わせない破天荒なところ。

明るくて笑顔が可愛いところ。

頑張り屋なところ。

他人の気持ちを思いやる優しいところ。」



「え、ちょっと律季!?」


美琴は、突然律季が褒め出して照れながら動揺する。


律季は頬杖をついたまま、美琴に微笑みかけて続ける。



「悪いところは、一人で抱え込むところ。

“俺”という“心強い友達”がいるのに、話してくれないところ。」


そう言ってから、律季が真顔になって美琴に尋ねる。



「こないだ言ってた、新太と離れるって何?」




美琴は、以前(まえ)に早子が新太に話し掛けているところを見て、嫉妬した時のことを思い出した。




『…―――新太と離れたら…こういう不安は…どうしたら解決できるのかな』




あまりにショックで、つい隣に居た律季に独り言のように問い掛けた。


律季はそれが引っ掛かっているのだと、美琴は気が付いた。


(今ならまだ誤魔化せる…――――でも…)



美琴は、一人で抱え込むことがつらくなっていた。


「絶対…誰にも言わないって…約束してくれる?」

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