表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
24/250

三人

「う、海?」

「そ、海。」

斗亜の青ざめた顔を、頬杖をつきながら愉しそうに律季が眺める。


「は?まだ夏休み始まったばっかなんですけどー」

(ねた)む気持ちを隠すように、斗亜が言う。


「だって誘われたからさぁ、美琴に」

そんな斗亜の気持ちをお見通しの律季は愉しげに、微笑んで言う。


「俺が補習地獄に苦しんでるってのに…」

斗亜が項垂れると、


「いや、それは自業自得だよね?」

律季が冷ややかに突っ込む。


「って、なんで二人で行くんだよ!他にも誘えよ、新太とか」


「新太はデートだったし…仕方ないじゃん」


「うわー、リア充マジうぜぇー」


「それ、八つ当たり」

律季が斗亜にため息をつく。


「でもさ、美琴ってどうして誰とも付き合わないんだろうな…」

頬杖をつきながら、遠い目をして律季が言う。


「俺が好きだって言っても、流されちゃったしなー」

「は?」

(な、なんだと?)

さらっと言う律季に、斗亜が動揺する。


「言ったのか!?」

斗亜が身を乗り出して、律季に問い詰める。

「うん、つい…」

苦笑いで律季が答える。


「“つい”じゃねーし!美琴は俺のなんだから、お前は引っ込んでろ」


「はぁ?美琴は誰の所有物(モノ)でもないし。なぁ、新太?」



「え、お、うん…?」

さっきから斗亜の声の音量を、いつ店員に注意されるかハラハラしていた新太は、突然話を振られて動揺する。


「てかさ、俺…いなくても良くない?」

(俺としては、美琴の話とか聞きたくないんだけど…)


二人に呼び出されていつものファミレスに来てみたものの、話はさっきから“美琴トーク”で盛り上がっている。


新太は、(たま)らず席を立とうとする。


「いやいや、待てよ新太。本題はさ、来週俺の別荘に行かないかってことなんだわ」

隣に座っていた律季が、早口で言う。


「え、来週?てか、別荘って…」

突然の話に、新太が戸惑っていると、


律季(こいつ)()、金持ちだから」

斗亜が、ごく当然の事のように言いながら律季を顎でさす。


「毎年、斗亜とか友達何人かで行ってたんだよ。今年は新太と少人数で行きたいなと思ってさ」

斗亜の“金持ち発言”を否定することもなく、律季がニコニコしながら言う。


「へぇ…」

(何それ、凄すぎだろ…)


「海も目の前だし、快適だぞ!!なんなら蛍も誘えば?」


まだ、新太は行くとも言っていないのに、斗亜が楽しそうに声を弾ませ話を進めていく。


「そうそう、女の子一人じゃ美琴も警戒するだろうし」

律季が頷きながら言う。


(え、ちょっと待て…今、“美琴”が出てこなかったか?)


「じゃあ決まりなー!五人で別荘お泊まり会ー!」

ハイテンションの斗亜に、嬉しそうな律季。


「いや、俺は…」

新太の声は二人に届かず、新太はため息をついた。



『夏休み、やりたいことやるんだー』

美琴の笑顔を思い出して、新太は複雑な気持ちを胸に押し込める。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ