危ない出来事
「うわ…ひでぇ顔だなー」
翌朝、偶然同じタイミングで部屋のドアを開けたらしく、
隣の部屋からいかにも寝不足な顔の美琴が出てきた。
「あ、新太…おはよ」
目の下のクマが凄い美琴が、新太に気付いて疲れ気味の声で言う。
「何、夜更かしでもしてたわけ?」
新太がフラフラの美琴を心配そうに見ながら、尋ねる。
「いやぁ、夏休みの課題終わらせようと思ってさー」
美琴は力なく笑う。
「え、一日で?」
美琴の言動には、いつも驚かされる。
いつも最終日にまとめてやるはずの課題を、
夏休み初日、しかも一晩で終わらせるなんて…今までに一度もなかった…。
「うん」
階段を降りながら美琴が言う。
「今年はたくさんやりたいことやるんだー………うわっ」
フラついて、階段を踏み外した美琴を、後ろを歩いていた新太が慌てて後ろから抱き留める。
「危ねーだろ、バカ」
「新太…手、どけて…」
美琴は震えながら、聞いたことのない…艶っぽい声で言う。
新太は、美琴の言っている意味が分かって慌てて手を離す。
(うわ…マジか…やっちまったーーー)
「ごめん、わざとじゃ…」「分かってる…ありがと」
新太の言葉を、美琴が小さな声で遮る。
新太の手に、柔らかい感触が残る。
咄嗟のこととはいえ、美琴の胸を、ダイレクトに触ってしまった新太は、赤面しながら階段を降りる。
(さっきの美琴…、すげぇ可愛いかったな…)
いつも元気な美琴が初めて見せた、
恥ずかしそうに震える姿を思い出して、新太はドキドキしていた。




