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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
23/250

危ない出来事

「うわ…ひでぇ顔だなー」

翌朝、偶然同じタイミングで部屋のドアを開けたらしく、

隣の部屋からいかにも寝不足な顔の美琴が出てきた。


「あ、新太…おはよ」

目の下のクマが凄い美琴が、新太に気付いて疲れ気味の声で言う。

「何、夜更かしでもしてたわけ?」

新太がフラフラの美琴を心配そうに見ながら、尋ねる。



「いやぁ、夏休みの課題終わらせようと思ってさー」

美琴は力なく笑う。


「え、一日(いちにち)で?」

美琴の言動には、いつも驚かされる。


いつも最終日にまとめてやるはずの課題を、

夏休み初日、しかも一晩で終わらせるなんて…今までに一度もなかった…。


「うん」

階段を降りながら美琴が言う。

「今年はたくさんやりたいことやるんだー………うわっ」


フラついて、階段を踏み外した美琴を、後ろを歩いていた新太が慌てて後ろから抱き留める。


「危ねーだろ、バカ」


「新太…手、どけて…」

美琴は震えながら、聞いたことのない…艶っぽい声で言う。


新太は、美琴の言っている意味が分かって慌てて手を離す。

(うわ…マジか…やっちまったーーー)


「ごめん、わざとじゃ…」「分かってる…ありがと」

新太の言葉を、美琴が小さな声で遮る。



新太の手に、柔らかい感触が残る。


咄嗟のこととはいえ、美琴の胸を、ダイレクトに触ってしまった新太は、赤面しながら階段を降りる。


(さっきの美琴…、すげぇ可愛いかったな…)


いつも元気な美琴が初めて見せた、

恥ずかしそうに震える姿を思い出して、新太はドキドキしていた。



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