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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第一章】
22/250

ご機嫌な姉と不安げな弟

「ただいまー」

美琴は、軽い足取りで玄関のドアを開ける。


「遅かったのねー、美琴。ごはんは?食べてきた?」

キッチンから、母親の舞子が顔を出す。


「あ、うん。食べてきた」

「もぉー連絡してよね」

母が小言を言うと、美琴が苦笑いで謝る。

「あ、ごめんー。話し込んでて忘れてた」



「おかえり」

リビングにいた新太が、美琴の帰宅を知って近付く。


「わぁ、新太ー!今日は新太のが早かったんだね」

「どこ行ってたんだよ」

美琴がご機嫌に話し出すのを、新太は不快に感じながら問い質す。


「海ー!」

美琴は何を思い出したのか、楽しそうに言う。



「ーーー誰と?」

あくまで無表情のまま、新太がさらに聞く。


「律季!」

美琴は嬉しそうに答える。

「え…」

新太はショックで言葉を失なう。


「だって…斗亜は補習だし、新太はデートだし。うちら暇してたからさぁ」

すっかり律季に心を許したらしく、美琴は新太に楽しそうに話し出す。


「―――二人で?」

新太は、気になっていた最後の問いかけをする。

「え、うん。二人で」

…美琴の言葉に、新太は嫌な予感がした。



「新太、良い友達持ったね。私、律季と友達になれて本当良かったよー。すごい気が合うしーーーー」

無邪気に律季を褒める美琴を、不安げに新太は見つめる。



「美琴、アホすぎる…」

「え?」

(今、私…アホって言われた?)


「知らねーからな!俺は…」

拗ねたように言う弟を見て、美琴はピンと来た。


「新太?もしかして嫉妬してるの?」


「はい?」


「大丈夫、新太の友達奪おうとしてないから!」

「は?」


「人見知りの新太の、唯一の友達だもんね!」

新太(おとうと)の気持ちを察したことを得意そうに、美琴は肩を叩くと自分の部屋に行こうとする。


「アホ…」

新太はそんな美琴を見つめながら、呟く。


『嫉妬してるの?』

美琴に言われた時、本当は心臓が軽く跳ねた。


新太はため息をつく。


(半分正解、だな…)


ーーーーこんな気持ちは、間違ってる。

分かってるのに…止まらない。


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