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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第四章】
219/250

告白

「―――辞めたい?」


撮影の仕事が終わって、美琴は美緒の事務所に顔を出していた。


突然の発言に、美緒は思わず声をあげた。


「うん…」

美琴は、すまなそうにうつ向いたまま頷く。


「どうしたの急に…。」


「急…じゃなくて。以前(まえ)から言わなきゃと思ってた」

美琴はうつ向いたまま話し出す。


「私、楽しかったけど…これを仕事にするつもりはないんだ」


美琴は、顔をあげて、決心したように美緒の目を見て言う。

「私…大学出て、ーーーー通訳になりたいの」




「通訳…?」

美緒が言葉を繰り返す。



「一年間留学して、そう思ったの。アメリカの文化の違いとか…そういうのをたくさん学んで…。もっと日本もアメリカのこと知ったり、アメリカも日本のこと知ったりできたら…って」


美琴が熱心に話し、美緒は美琴がこれ以上モデルをする気がないことを察した。



美緒は元から娘の夢を応援するつもりだった。


「良いんじゃない?頑張って!」

美緒は、美琴に微笑みかける。


「でもそれなら…向こうの大学に行けば良かったんじゃないの?推薦の話、来ていたでしょう?」


通訳なら、もっとアメリカの大学で学ぶことも必要なのでは?と美琴に尋ねる。


「…――――」

美琴は、また言いにくそうに顔を伏せた。


「そう…だったけど…。でも私、離れたくないんだ…新太と。」



「新太くん?―――って、真太の息子の…?」

(一緒に暮らしてる…“弟”よね?)



驚いて聞き返す美緒に、美琴が顔をあげて答える。



「ママ…私ね…ーーー新太が好きなの…」


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