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はかる気持ち  作者: 夢呂
【第四章】
217/250

「花火、綺麗だったねー」

花火大会が終わり、人混みの中、美琴と新太は手を繋いで歩く。


「うん」

隣を歩く美琴は本当に幸せそうで、新太も幸せな気持ちで満たされる。


『気分転換になれば良いよな』

新太は、ふと、律季が言った言葉を思い出した。




「ねぇ…美琴は将来の夢とか…あるの?」


悩んでいることがあるなら話して欲しい。

新太は、そう思って尋ねた。


「夢?―――うーん、まぁ…。通訳とかかな…」

少し言いにくそうに、美琴が答える。


「通訳?モデルじゃなくて?」

美琴が通訳になりたいと思っていたとは知らず、

新太は少しショックを受けたが、美琴には気付かれないように無表情で尋ねる。



「モデルは…まぁ誘われて、やったら楽しかったから続けてたけど。それに、ママのこともあったし…。」

美琴は少し言いづらそうに笑う。


「でも、もうやめようかと思ってるよ?」


「どうして?」



「私…何も努力してないのに楽しいからって理由で雑誌とか載って…。だけど、モデルの子達はもっと色々努力してるから、なんか“違う”なって。」


美琴は…ーーきっとモデル仲間の中でも、上手くやれていないんじゃないかと新太は察した。


「中途半端にしてる自分が…嫌なんだよね…」


美琴の魅力は天性のモノだ。


努力で勝ち取ったものでもないし、元々モデルが夢だったわけでもない。

それを妬まれてしまったんだと、新太は察した。



「そっか…」

美琴の隠す本音を、新太は察して優しく頷く。


そんな優しい新太の表情に、美琴は静かに微笑み返す。


「新太の夢は何?」

美琴は、同じ質問を新太に返す。


「俺?…ーーー」


突然振られた話題に、新太は黙り込んだ。


(―――何だろう…)


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